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痛みの中で 3

「ゼアレス…」 背後から呼ばれ、ゼアレスはハッとなり振り返った。 ゼアレスの酷い顔を見て、庭師は深いため息をつく。 「……ツツジは…死刑囚だ。」 庭師は自分の胸を押さえながら、俯きがちに呟いた。 「“個性持ち“の能力で人をたくさん殺してしまっている、多分無自覚…」 「ローザ…」 「……っけど、下ではそれは通用しない、一度火炙りにされた… 熱い……苦しい…、 …でも…任務……こなせば…恩情で斬首に…けど……」 彼は絞り出すような声でそう呟き、浅い呼吸になりながらその場に崩れ落ちた。 ゼアレスは彼に駆け寄り、そっと背中に手を回した。 「もういい……」 彼に力を使わせてしまったことにまた辛くなりながらも 大方予想していたとはいえツツジの背景に、 その深い深い闇に心がバラバラになりそうだった。 「……助けて……」 庭師は泣いているような声で小さく呟いた。 それは、ツツジの心の声なのだろう。 一番奥底に閉じ込めていて、自分でも気付けなかった言葉。 自分は確かに聞いていたのに。 ツツジはいつも無邪気に笑っていた。 それは全部本当で、きっと嘘偽りなんかじゃない。 歪まずに出来事を受け止めていた彼が それを受け止めきれなくなって、歪んでいってしまったら? 「ゼア…レス……あいつ、多分…死ぬ気だ…」 庭師は胸を押さえながら、呟いた。 死ぬ。その言葉と彼の姿が重なって頭の中が真っ暗になった。 「僕は大丈夫…蜂蜜も…まぁ、なんとかなる… だから早く行け…そうしたいんだろ…」 ”個性持ち“はいつも他人のことばかりを考えている。 身勝手な自分達と、別の領域にいるばかりに。 ゼアレスは奥歯を噛み締めながら苦しそうに呼吸をする庭師を抱え上げた。

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