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痛みの中で 5
例え地獄であったとしても、
もしかするとここよりはマシなのかもしれない。
夜明けと共に、街中に設置された悪趣味な公開処刑台の下まで蹴られながら歩き
ツツジはまた鉄の棒に括り付けられた。
括り付けられていなければ、自分で立つこともままならないほど
全身のあちこちが痛くて、もうほとんど気力は残っていなかった。
肩で呼吸をしながら、ぼんやりと目の前の景色を見ると
張り巡らされた格子の向こう側には、たくさんの人々が詰め掛けている。
そんなに人が焼け死ぬ姿を見たいのか、と思いながら虚ろな瞳でそれを捉えていた。
「…以上の罪により、
この者たっての希望で本日これより火炙りの刑に処す」
長々とした罪状がようやく読み終えられた。
任務は遂行できなかったと伝えたツツジは罪なき衛兵を人質に取り、無理矢理この回にこじ付けたのだが
当然のことながら情状酌量の余地はなく、準備が整うまでの短い間で手酷い拷問を受けてしまう羽目になった。
とはいえちゃんと願いは聞き届けられたらしい。
「聞き間違えただけだけど…任務は…ちゃんと遂行できたよね…」
ツツジは苦笑しながらも、ようやく暗い部屋から解放され
幸せな時間を思い返し胸がじんわりと熱くなるのを感じた。
こんなことを思いながら死ぬことができる自分は幸せ者だとすら思う。
「ああ…!あれが魔女様…!」
「なんて神々しいお姿だ…!」
ギャラリーの中にはどうやら信者もいるらしい。
これは好都合だ。
足元に薪をくべられ、やがてオイルが撒かれ始める。
2度目だったが前回よりも量が多い気がした。
こんな外の野ざらし状態ではきっと一度火がつけばもう燃え盛る一方だろう。
あの時のことを思い出すと、流石に身体が震えてしまう。
だけど気丈に振る舞わなければ。
魔女と思われているようだし、せめてそのように。
ツツジは残る体力を必死に掻き集めて、
得意な平気そうな顔でへらりと笑った。
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