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第10話
「まあ事情はわかったが・・・・・・。」
先生はチラっとショウくんを見た。
あー、言いたいことはわかる。
成人済の従兄弟なのに何で面倒見ないだとか、そういうことだと思う。
「ショウくんは、オレが中3のときに結婚してるから。」
「えっ!?あ、そう、なのか?」
「俺は高校の間は面倒見るんで一緒に暮らそうって言ったんですよ?でも弥月が嫌がったので無理強いは、できなくて。」
ショウくんが年齢を誤魔化して高校生を規定時間外で働かせてたという負い目からか朝野に対してびくびくしながら、オレがひとり暮らししてる理由を説明する。「え、だって、先生は同性婚した新婚の家に3年間も居続けられる?」
朝野はうーん、と考える仕草を見せてから、それは無理だなと結論づけた。
「祐也は教職に就いてるから時事があっても生徒がこんな時間まで働いてるのを見逃せないわけ?」
オレらの話をずっと聞いていたユキさんが横から割り込んでくる。
「あー、まあ幸久なら大丈夫か。」
「先生ってユキさんのこと信頼してんの?」
「コイツは大学4年間で学部内の成績がトップで有名だったからな。」
たしかに、ユキさんの教え方は上手くて教師に向いてると思ってた。
大学で成績トップってホントすごいな。
「ユキさんの教え方うまいと思ってたんだ。ユキさんは先生にならなかったんだ?」
「私は教師より今の仕事の方が向いてると思ったから。」
ユキさんは性別問わずに思わず男でも手に取ってしまいそうな可愛いとカッコイイが混ざったようなアクセサリーや小物を売ってるショップの社長兼デザイナー。
「あの・・・・・・事情があるにしても高校生をこんな時間に雇ってしまいすみませんでした。でも学校には迷惑かけないんで、このまま弥月をここで働かせても良いですか?」
ショウくんは本当に真面目だなあ。
まあ朝野の剣幕にやられたんだろうけど。
「まあ、勉強もしてるみたいだし。それに椎葉が成績良いのは知ってるから。俺個人としては別にいいですけど、学校側にバレなければ。」
「「はい。それは気をつけます(る)。」」
オレとショウくんがハモったもんだからユキさんが従兄弟って似るのかしらと可笑しそうに笑いだした。
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