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第12話

「そうなんだ。さっき彼氏らしき人といるのを見かけたから。」 「・・・・・・?」 「小柄で可愛い人。」 「あー、アイツは・・・・・・そんなんじゃねえ。適当な相手。」 うん。これは完全に酔ってんな。 だって、生徒にここまで赤裸々に話すか!? オレが生徒だって認識できてるのかもどうかって感じだしなあ。 「適当な相手・・・・・・。」 「お前も男だし、多少はわかるだろう。」 「まあ・・・・・・けど、オレそーゆう経験ないし。」 「・・・・・・マジ?」 朝野が奇妙な生き物でも見るように見上げる。 「マジだっての。」 「そうか。え?女とは?」 「・・・・・・ないけど。」 「マジ?じゃあ、お前って童、」 「別にいいだろ!?」 「そうか、じゃあ俺の言ったことわかんねえだろうな?」 さっきまで眠そうだったのに今度は目を細めて意地悪そうに笑いながら見上げてきた。 普段学校じゃ絶対に見れるはずない顔。 くそ・・・・・・言われてることは腹立つのにそんな顔されたらドキドキするじゃねえか。 「・・・・・・じゃあ先生がオレの初めてもらってくれる?」 「・・・・・・。」 「・・・・・・誰でもいいならオレでもいいだろう。」 そう言うと朝野はふっと笑ってーーー・・・・・・。 「ばぁーか。お前に手出したら淫行条例に引っかかるっつーの。」 おでこに軽くデコピン食らわせながら大人の余裕だか知らねえけど、馬鹿にしたように笑う。 その顔ですらカッコイイとか思う。 「いってえ!!」 「あはは。馬鹿なこと言うからだ。」 おでこを擦るオレを面白そうに眺める。

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