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14:我慢したくない

 だらだらと涎を垂れ流す自身は、実は突き入れられた時からほとんど放置されていた。    太ももや尻や背中には愛撫してくるくせに、わざとそこだけ外してるんじゃないかと思っていたが、実際は分からない。    後ろからの刺激にぴくぴくと反応するモノを慰めたくて、俺は自分のそれにゆっくりと手を伸ばす。   「……まだ、だめですよ」  自身に向かっていた手首をガシッと掴まれたかと思えば、耳許で咎めるように低く囁かれて、ギクリと心臓が跳ねた。   「っあ、ぁ……も、いやだぁ……」  お願いだ、触らして。  胸と後ろだけでも充分気持ちいいし、ちんこまでぴくぴく動いて喜悦の声を上げている。   ……でも、それだけじゃ無理。  さすがに前を扱かないと、イけない。 「っうぇ、やぁ……」  これ以上我慢を強いられるのは限界だった。    触りたくて、気持ちよくて、でも物足りなくて。  そう思う自分が浅ましくて情けなく思うのに、衝動は抑えられない。    色んな感情が混沌して思考がぐちゃぐちゃだ。  だから余計に、なりふり構わず恥ずかしい台詞を言えたんだと思う。 「もっ、触りたい、ぐちゅぐちゅして、ぁっ……ぅ、イきた……っ」  ぐす、とうつ向いて鼻をすする俺に兄ちゃんは仕方ないですねぇ、と呆れたように呟く。    相手の名前を呼ぼうとして、ふと、俺は、この人の名前すら知らないことに気付く。  そんな初対面の男にこんなことを許してるなんて、尻軽女か……。  いや俺、男だけどさ。  まあ、尻だけに。とか、つまんねぇよな。   「っはぁ、あ……っま、え……」 「……なんです?」 「な、まえ……教え、てっ」 「ふふ、今それ言います? 遅いでしょ」  こんな時だって言うのに、兄ちゃんは情事が見え隠れする色っぽい表情で、だけどおかしそうに笑った。    うるせえ、俺だって今更だとは思ったよ。  もう少しタイミング考えろよ、ともな。    けど、気になったんだから仕方ない。  名前すら知らないやつに犯されてるなんて嫌だし。   「僕は、坂田って言います。坂田祐介」  さかた、ゆうすけ。    名前が分かった瞬間、何故か一気に親近感というか、心に残っていた不信感みたいなものが消える。    なんだ、この気持ち。     「っあ、ゆ、すけ……ッ」 「……っ、急に名前呼ばれたら、なんか凄いキますね」  ああ、分かるかも、なんとなく。  でも、名字ってのもなんだか他人行儀だし、煽ってしまったなら申し訳ない。    まあ俺も、杉村さんって言われるより、ちゃんと名前で呼ばれたほうが嬉しいけど。   「っぁ、あぅ、ゆう、すけ、もう……触ってい……?」 「もう少しだけ、待って下さい」 「やっ、も、我慢したくな……ッひぁぁあ゙!」  ぐりゅん、と身体が反転した。    膝の裏を持ち上げて、肩にかけられる。  顔の横に手がついた。    急に体位が変わったせいで、祐介のが当たる角度も変わって、俺のイイトコロに亀頭の硬く出っ張った部分が引っかかる。   「っあ、だめ、ぁひ……ん、んぁあ……っ!」  くりくりと器用に乳首をつねられて、ビリビリした電流みたいなものが全身に駆け巡る。    強い快感、耐えられなくて、紛らわすように俺は祐介の首に腕を絡めて、びくびく痙攣しながら抱きついた。

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