28 / 36
09:理性が邪魔する
「……っ?!、ぃ、ぃやだ……っ、そんな、つもりじゃ……ッ」
「あは、ハジメテみたいな反応しますね」
ハジメテなんだけど……っ?!
これはなんか、とんでもない誤解をされている気がする。
言わなくては。言って、誤解をとかなくては。
そう思うのに、自身への手扱きがくちゅくちゅ卑猥な音がするほど激しくなって、背骨をかけあがる快美に、ぞくぞくと呼応してしまう。
「あっ、あっ、ぁあッ、だめ、だめだってぇ……っ」
ぬめりをまとった指先が、きゅっと閉ざされたそこを開くために、くすぐるように触れて。
やんわり、少しずつ、だけど確実に、懐柔されていく。
……ほんとに、ほんとに初めてなんだ。
そんな、尻の穴を他人に触られるなんて。
今だって、全神経がそこに集中して、初めての感覚にどうしていいのか分からない。
触れた穴がヒクヒクといかがわしく開閉するのは、ただ混乱していて、自分で意識してやってるわけじゃない。
もうなにを言って、どんな顔をしているか、とか。
そういうのも全部、気にしてる余裕がなくて、頭が変になりそうだ。
ぐにぐにと解し、ぬめりをまとった指先は今にも侵入してきそうで、腹のナカが熱く、じわりと疼く。
──揉みほぐされて、弛緩した身体は、後孔は。
「やぁっ、あァ、あぁぁ……っひぁぅんッ!?」
「ふは、すごい声……」
「っあぁぁ゙……ッ、やだぁ……っ!」
ぐっ、とさらに力を込めた四ノ宮の指を、ぬぷぬぷと、あっさり受け入れてしまった。
「あぁほら……。そんなに大きな声を出すと、丸聞こえですよ、お隣に」
「……っ、ぁ、ぁ……ッはな、して、はなせぇ……っ」
弱々しく四ノ宮の腕を掴む手は、もはや抵抗というよりも、助けてほしくて縋りついているようだった。
「あー……、でもいっそ、聞かせてあげます? さすがにこちらの声が聞こえたら、向こうのも聞こえてるって、分かるんじゃないですか?」
「──……あっ、ぁあッ、イイっ、イイッ、そこ、そこぉ……ッしんじゃうぅ……っ、!」
「──っ?!」
唐突にたっちゃんの叫ぶような嬌声がして、ハッとした。
一気に現実に引き戻された気持ちだった。
俺……っ、自分の声なんて、全然、気にもとめていなかった。
それどころか、たっちゃんの声さえ、言われるまで気がつかないほどで。
今さら羞恥心がぶり返し、自分の痴態を恥じ入るように、うつ向く。
「──きもちぃ、あっ、ァあ……ッ、きもちぃの、そこ、もっとぉ……っ!」
「……ま、“あちら”は、そんなことお構いなしって感じですけどね」
「……っ、」
「九重さん、こっち見て」
「?」
「……指、ナカに入ってるの、分かりますか」
「ぇ……、ぁ……っ」
そうだ。入って、しまったんだった。
痛みが全くないのは、馴染むまで無理に動かさないようにしてくれていたからだ。
……でも、意識したら、その違和感と圧迫感を、無視できなくなって。
きゅう、と後ろに力が入ってしまい、四ノ宮の指の太さや長さ、輪郭を、つぶさに感じとる。
ともだちにシェアしよう!