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11:勘違いであってほしい

 四ノ宮の白い手の上に、自分の日に焼けた手をそれぞれ重ねると、やつの両手の動きが激しさを増した。 「ぁっあッあっアッ、ぁあッ、や、やぁ゙……っ!」  倒錯感で、胸がくるしい。 ……くるしくて、前もナカも、揺さぶるような愉悦によろこんでいるのに。  散々いじくりまわされた乳首が、今になって連動するように切なくひくひくする。  胸をさらすように身悶える俺に、四ノ宮が目ざとく囁きかける。 「……胸、さみしいですか? 触ってほしい?」 「っひぁうッ、んぅ……ちがっ……、ちがうぅ……ッ」  こんな甘ったるい声では、もう何を言っても説得力なんかない。    赤くツンとした乳首は、胸の上部で撓んだインナーを押し上げていて、はやく触ってほしそうに、健気に尖って訴えかける。 「……九重さんは、いつもみたいに乳首、いじって見せてください」 ──俺、腕二本しかないので。って、ちょっと意地悪に笑った顔が、憎めなくて、くやしい。  いつもじゃないって言ったのに……。  四ノ宮に見られながら、自分で乳首をいじるのか……?    そんなの、ちんこ扱くより、乳首触ってるところを見られるほうが、みっともなくて。  自分のなかの、何か大切なものを失ってしまう気がする。 ……想像するだけで、無理。むりだ。恥ずかしすぎる。  ふるふると首を左右にすると、四ノ宮はちんこから手を離して、俺の手首を掴む。  その手は俺の淫液で濡れて、熱っぽくて。 「……しょうがないですねぇ」 「っやァ、やだ、やだって……できな……ッん、んうぅ゙!」  俺の手の上に、四ノ宮は手のひらを重ねて、胸に持っていく。  身体の厚みや体格はこちらのほうが上なのに、四ノ宮のほうが、手が大きい。    腕を振り払えば済むのに……、それができない。  きっともう俺は、俺のカラダは、気づかないうちに、時間をたっぷりとかけて。  四ノ宮によって、初期段階の“調教”が済んでいる。 「……ほら、つまんで。こんなふうに」 「っア、ぁ、あっ、はあぁん……っ、だめ、だめぇ……っぁあんんッ」  お手本のように、やつは俺の胸の突起を優しくつまんで、指で挟むようにくりくり扱いて。  後ろの手もゆるゆる抽挿させながら、与えられる生やさしい刺激にびくびく感じだすと、俺の性感をコントロールするように、爪の先できゅんっと痛く抓る。 「あぅ゙んッ……ぅんッイ、イく……っ、イきた……ッぁああ゙ぅっ」 「……そんなに乳首、お好きなんです? でも、まだダメですよ。イかないで」 「やっ、やぁ……ッしのみや、しのみやぁ……ッ」 ──今までの、時間。今日だけじゃない。  何度となくマッサージされて、定期的に触れられて。  四ノ宮のさわり方を覚えるくらいに、心から満たされた記憶が、事実が、いくつもある。    抵抗できないように。  そんな気さえ、起こさせないように。 ……勘違いじゃない。  むしろ俺の、考えすぎであってほしい。  でも思考とは別のところの感覚で、全身で。  そう、自覚させられてしまった。    “躾”はもう、次の段階になっているんだって。 「手、離しますけど、そのままちゃんと、いじっててください。できますね……?」

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