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14:男なので
気持ちよすぎて、歯を食いしばっても耐えきれずに、ガタガタ震える両手で、四ノ宮の腕に縋る。
狭く小さな出口に向かって、溜まりに溜まったドロドロの熱情が、押しよせて。
一気に頂点まで、のぼりつめた。
「うあぁ゙……ッし、しのみやぁ……っ、ひィんっ、うぅ゙……イ、イく……ッッゔ、っんァああ゙ッ──~~~~ッッ!!!」
真っ赤に熟れてツヤツヤした亀頭から、ものすごい勢いと量の白濁がびゅるるッと迸る。
びくびく、びくんっ、と、腰が不規則に跳ね続け、内側から全身に充満する獰猛な多幸感に、頭が真っ白になって。
目の前に、チカチカと火花が散る。
「ひっ、ィあ……ッ、あぁぁ゙……ッんうぅ゙……っ!」
それは一度では収まらず、何度も、何度も、下半身を盛大に跳ねさせながら、硬直して。
断続的に、射精する。
たくさん、ぜんぶ、何もかも。
後ろでなんてイったことがなくて、長い絶頂がこわくて、なのに堰をきったように、ボタボタと精液を漏らす。
「あぁ゙……ッ、はああぁぁ……っ、ん゙、く……っ」
詰めていた息をやっとの思いで吐き出せて、まだピクピク震える腹筋を、深呼吸することで何とか抑えながら……全身から、脱力した。
「……っはッ、あぁ……、ん、ん……っ」
快楽と涙で滲んだ視界は、まだ焦点が合わない。
ずるり、とゆっくり下着から指が引き抜かれ、襞を巻き込みながら出ていく感触に小さく声が出た。
ほとんどはやつの手の中で受け止められたが、勢いがよすぎて自らの白濁が腹の上に点々と飛び散っている。
四ノ宮はそれに躊躇なく触れ、手遊びするようにくるくると臍のあたりに塗り広げると、
「わあ、見てください。俺の指、ふやけちゃいました」
「……ッあ、んぅ……っ、や、やだ……っ」
目の前で、後孔に突っ込んでいた手を見せられる。
色が白くて、短く切りそろえた爪が大きくて、指が細長くて節立ってきれいだったはずのそれは、今は濁った白と愛液にまみれてテラテラと淫靡に濡れている。
仕事柄、表皮のかたい指先がふやけるまで俺のナカにいた事実と、手を汚したそれが、すべて自分の体液なんだと思うと……、もう。
沸騰するような羞恥と背徳感に苛まれ、直視できずに目を逸らした。
「……がんばりましたね、九重さん」
「……は、あ……、はぁ、ふ……っん」
俺は恥ずかしさと罪悪感で顔も見れないが、四ノ宮の、労るような声色が優しい。
今まで味わったことのない、全身の硬直と弛緩を繰り返して疲弊した身体に、心地よく浸透する。
ひくひくと、未だ長い余韻に浸る俺を急かすこともなく。
息が整うのを、身体が落ち着くのを、寄り添って待ってくれる。
「……っふ、……?」
ふいに目の前が陰る。
身をかがめた四ノ宮の顔が近くなっていたことに気づく。
射精直後の、無防備に放心状態だった俺は、それが何だかよく理解できないまま、ぼうっと、うつろな目で四ノ宮を見上げる。
「……っ、!」
本能に訴えかけるような、雄の顔をした四ノ宮に、ドクンと心臓が慌てた。
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