33 / 36

14:男なので

   気持ちよすぎて、歯を食いしばっても耐えきれずに、ガタガタ震える両手で、四ノ宮の腕に縋る。    狭く小さな出口に向かって、溜まりに溜まったドロドロの熱情が、押しよせて。    一気に頂点まで、のぼりつめた。 「うあぁ゙……ッし、しのみやぁ……っ、ひィんっ、うぅ゙……イ、イく……ッッゔ、っんァああ゙ッ──~~~~ッッ!!!」  真っ赤に熟れてツヤツヤした亀頭から、ものすごい勢いと量の白濁がびゅるるッと迸る。    びくびく、びくんっ、と、腰が不規則に跳ね続け、内側から全身に充満する獰猛な多幸感に、頭が真っ白になって。  目の前に、チカチカと火花が散る。 「ひっ、ィあ……ッ、あぁぁ゙……ッんうぅ゙……っ!」  それは一度では収まらず、何度も、何度も、下半身を盛大に跳ねさせながら、硬直して。    断続的に、射精する。  たくさん、ぜんぶ、何もかも。  後ろでなんてイったことがなくて、長い絶頂がこわくて、なのに堰をきったように、ボタボタと精液を漏らす。   「あぁ゙……ッ、はああぁぁ……っ、ん゙、く……っ」  詰めていた息をやっとの思いで吐き出せて、まだピクピク震える腹筋を、深呼吸することで何とか抑えながら……全身から、脱力した。 「……っはッ、あぁ……、ん、ん……っ」  快楽と涙で滲んだ視界は、まだ焦点が合わない。    ずるり、とゆっくり下着から指が引き抜かれ、襞を巻き込みながら出ていく感触に小さく声が出た。    ほとんどはやつの手の中で受け止められたが、勢いがよすぎて自らの白濁が腹の上に点々と飛び散っている。  四ノ宮はそれに躊躇なく触れ、手遊びするようにくるくると臍のあたりに塗り広げると、 「わあ、見てください。俺の指、ふやけちゃいました」 「……ッあ、んぅ……っ、や、やだ……っ」  目の前で、後孔に突っ込んでいた手を見せられる。  色が白くて、短く切りそろえた爪が大きくて、指が細長くて節立ってきれいだったはずのそれは、今は濁った白と愛液にまみれてテラテラと淫靡に濡れている。    仕事柄、表皮のかたい指先がふやけるまで俺のナカにいた事実と、手を汚したそれが、すべて自分の体液なんだと思うと……、もう。  沸騰するような羞恥と背徳感に苛まれ、直視できずに目を逸らした。 「……がんばりましたね、九重さん」 「……は、あ……、はぁ、ふ……っん」  俺は恥ずかしさと罪悪感で顔も見れないが、四ノ宮の、労るような声色が優しい。  今まで味わったことのない、全身の硬直と弛緩を繰り返して疲弊した身体に、心地よく浸透する。    ひくひくと、未だ長い余韻に浸る俺を急かすこともなく。  息が整うのを、身体が落ち着くのを、寄り添って待ってくれる。   「……っふ、……?」  ふいに目の前が陰る。  身をかがめた四ノ宮の顔が近くなっていたことに気づく。    射精直後の、無防備に放心状態だった俺は、それが何だかよく理解できないまま、ぼうっと、うつろな目で四ノ宮を見上げる。 「……っ、!」    本能に訴えかけるような、雄の顔をした四ノ宮に、ドクンと心臓が慌てた。

ともだちにシェアしよう!