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「っん、ちょっと待っててば、あっ…」 みーちゃんのキスは遠慮なく首筋から鎖骨の方に下りてきてて、みーちゃんが段々ヒートアップして盛り上がってきてるのが分かる。  ほら、膝に座らせられてるから股間のモノがじわじわ膨らんで俺の尻の方で自己主張してきてるんだよ。  おいおい、今は単なる仕事中の昼休みで、飯食って少し休む程度の時間であって、イチャついてる場合じゃないんだけど、やっと会えた、やっと触れられるってみーちゃんの気持ちが伝わってくるから無下に出来ない。  準備はしてないから本番無理なのは分かってるだろうし、普段の仕事態度からして、みーちゃんが昼休み終了の時間を忘れるわけがない。そのためにはね、その主張をやめず固くなってるものを静まらせなきゃならないとと思うんだけど…。  そう!その上、俺は付き合うにあたって不安な点を話すつもりだったんだ。  流されて、微妙に喘いでる場合じゃない。みーちゃんの肉厚で熱い唇は気持ちいいし、がっちりして俺より大きくて包み込んでくれる身体も安心して身をまかせそうになるけれど、心がもやもやしてる状態で流されてる場合じゃないんだ!   「みーちゃん待って」 こちらも理性も目一杯働かせて、みーちゃんの胸を押し返した。多分あと少し好きにさせてたら普通にキスしてる流れだったと思う。 なに?って、大きな体なのに小動物みたいに可愛く首を傾げてるみーちゃん見ると、小さい頃の面影を感じる。 「ちょっと待って。みーちゃんさ、俺が小児科医になってたら付き合ってって言うつもりだったって言ってたけどさ」 「うん」 「俺はこの通りみーちゃんより小さくて、昔の頼りになる俺を想像してたなら全然違うと思うし。ここ大事なんだけど、俺はみーちゃんを抱けないっていうか、ネコしかやってこなかったから……はっきり言うと女役しか出来ないんだ。そんなの、みーちゃんが会いたいって思ってくれてた俺と違うんじゃないかな…って思うと、真面目に付き合うの怖いな…って、付き合ってって言われてからそればっかり考えてる」 「バカだねぇたくちゃんは。俺より小さかろうが大きかろうが、たくちゃんはたくちゃんなんだよ。病弱だった俺の面倒みてくれて、楽しませてくれて、将来小児科のお医者になるって言ってくれたたくちゃん。ほんとは、小児科医になってようがなってなかろうが俺にとってはそんなに大きな事じゃなかったんだ。ただ…告白する時の理由づけっていうか、勢いつけるのに理由にしてみただけで…。俺はあの頃たくちゃんの隣にいる時が幸せだったんだ。病弱じゃなかったらあんな風にいてくれなかったかもしれない。だから、発作で苦しくても、少しだけ病弱で良かったのかも…って考えたりしてたんだ」 「あはっ、なんか一気に打ち明けて照れるね」 俺でいいんだ?俺がみーちゃんよりずっと小さくてもいいんだね? 「……俺、恋人って存在出来るの初めてだけど、結構甘えたがりかも…」 「いいよ、いくらでも甘えて?俺もたくちゃんに甘えたいし。長年離れてた分たくさん甘えてよ」 ずっとみーちゃんの膝の上っていう極近の距離は変わってないけど、みーちゃんが大きく両手を広げてくれたから、その腕の中に飛び込んだ。少しのどきどきと、落ち着く、懐かしい感じがした。

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