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 掌で温めてくれたオイルを纏った指が入ってくる。 「んっ…」  どうしよう。自分の顔が変じゃないか、声が気持ち悪くないかまで気になる。体だけの関係の相手の時は、その行為にだけ没頭して自分がどう見られてるかなんて、ちっとも気にしたことなかったのに。  変な自分を見てみーちゃんに幻滅されたら、嫌われたと思うのが怖い。  幼い頃の綺麗な思い出を汚したくない。こんな風に思うなら付き合わない方が良かったのかな。友達のままで、再会した幼馴染みのままで。そんな考えも浮かんでくるけれど、今みーちゃんにこうされてるのが俺じゃなくて違う誰かだったら…例えば知ってる相手だったら…なんて考えると泣きそうになる。  声が漏れるのは止められないから、口を手で押さえて、顔も変な顔してたら嫌だから、みーちゃんから見えないように背けた。 「たくちゃん、どうしたの?何考えてるの?」 言いたくないけど、こないだ素直にエッチしたかったと打ち明けた方がスッキリしたし、だんまりなのは俺らしくないじゃないか。 「俺の顔が変だったり、声が変で、みーちゃんに嫌われるのが怖い」 ハッキリ言ったつもりだったのに、案外震えた声しか出なかった。情けない。 「俺がたくちゃん嫌うわけないからね。今俺の指が入ってるとこがヒクヒクしてるのも、それに合わせて声が出てるのも、表情が変わるのも全部愛しい」 「それに。記憶が戻った時に、俺の事もさ男って呼んでたこと忘れたフリしたのもね。全部可愛いよ」 「……気づいてたの?!」 「うん。たくちゃんが嘘とか、誤魔化す時のクセ、全然変わってなかったよ。小さいたくちゃんのつく嘘は、学校のみんなが待ってるから早く治そうね、とかいう優しい嘘ばっかりだったけどね」 「ふぁっ、ん…」 みーちゃんの長い指増えて、自分では絶対に届かないとこを探ってくる。その先にある快感も知ってる体は、期待に震えて奥の奥までも熱くなってくる。  嘘なの気づいてても一緒にいようって思ってくれたんだ。みーちゃん、みーちゃんになら心まで任せていいんだね。そう思ったら、嫌われたくなくて強張ってた体の力が抜けた。みーちゃんのを早く挿れてほしくなって、手で探る。 「えっ、おっきぃ……」 昂ってたそれは、確かに大きくて…みーちゃんがハーフだから?とか思ったり。触ったらビクっと脈打って、みーちゃんも興奮してくれてるんだって嬉しくなった。 「たくちゃん…俺結構我慢してるんだよ。そんなにたくちゃんの手で触られると…」 あっ、あぁ、もう無意識に手で握って擦ってたんだ。自分の習慣ていうか、習性?恐ろしい…。  感じてくれてるみーちゃんの顔が見たくて、みーちゃんも俺の顔見たいってこんな気持ちだったのかなって、みーちゃんの顔を見ながら手の方に集中した。

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