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 患者2 青村瑛太(研修医) 「あの、佐々木先生、なんで俺がここに呼ばれたんでしょうか?」 「お前こないだの飲み会で、翠に変な事吹き込んだみたいだな。あの二人の事で病んでそうだからカウンセリングが必要かと思ってな」 「実は匠先生が男ってのはショックでしばらく引きずりました。でも、小児科でしばらく研修させて頂いてる間、毎日見ても好きなんですよ。もう、こんなタイプな外見の方初めてなので、もう男でもいいかと」 「はっ?あぁ、男だから目の保養程度に見てようってことか?」 「いえ、どうやって翠先生を陥れて、自分のものにしようかと考え中でして。……あっ、そうだ!佐々木先生も何か良い案ないですか?!」 「な、なんで俺に訊くんだ?!」 「心療内科医なんですから、人間の心理みたいな部門は得意ですよね?少しで良いからアドバイス下さい」 「色恋沙汰は苦手だ」 「そんな事おっしゃらずに、翠先生の魔の手から匠先生を救うと思って、協力して下さいよ~」  魔の手……あいつら相思相愛、依存系カップルだから魔の手もなにもないと思うんだが。こいつの目にはそう見えちまってるってことか。この研修医、飲み会でそんな関わらなかったが、相当変わってる気がする…。話題少しそらすか。 「男でもいいっていうくらい、どこに惚れたんだ?」 「まず、出会った時に外見で一目惚れでした。理想的な、俺とは違う重めのまぶた、の奥の綺麗な瞳、その下の高すぎない鼻、ポテっとしてて引き寄せられそうなエッチな唇。それからスタイルと、ちょうどいい背の高さ、キュッと引き締まったウエスト。あのウエスト!はぁ~、どう見ても女性だと思うじゃないですか!それから普段白衣で隠れているけれどプリっとしたお尻。それからそれから、口は悪いけど優しい気遣いのできる性格の良さ、あの翠先生の手綱を握れる……」 「もういい!分かった!」 「えっ、まだ話足りないんですけど。語らせて下さいよ~」 「俺はお前の語りを聞くために呼んだわけじゃねぇから、もういいぞ。お前はカウンセリングの必要なし。休憩終わる前に休んどけ」  匠先生のこと語れるなんて、一番の休憩になるのになぁだのぶつくさ言ってる青村を、無理やり追い出した。      患者2 青村瑛太 只の恋の病(盲目)

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