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第41話捜索 ショウ視点

「ここがアエレ村・・・・・・?なんの気配もしないな」 「おかしいですね。魔族どころか荒らされている様子もないようです・・・・・・」 王宮を出て約三日、ショウ率いる魔族討伐部隊はアエラ村に辿り着いていた。 森の奥の小さな村。若者の多くは出稼ぎに行き人口は少ないが、小川では子どもたちが魚採りをしていたり、農作業をしている老人たちが笑顔で出迎えてくれるような優しい村だ。 ショウは馬を降り、辺りをぐるりと見渡す。 不気味に感じるほど静かで、耳をすましても木々が風に揺れる音しか聞こえなかった。 魔族が現れたとなると土地は荒らされているはずだが、それも一切なく、ただ『人が消えた』ように見える。 「二手に分かれよう。ラスティさん、ミケ、ヒイロ、レイ、ロビンはここから西に向かって捜索してくれ。他は俺と一緒に東から回る。もし魔族が出るようなことがあったら笛を鳴らしてくれ」 首元に下げた木の笛を指さす。 全員が首を縦に振ると一斉に捜索を始めた。 ー--- 「ほんと、誰もいないっすねー。こんなこといっちゃあれですけど『村が血の海』は覚悟してたし、なんなら俺も死んじゃうのかなって思ってましたもん。なんか拍子抜けって感じ」 「気を抜くなよ、ネイサン。いつ魔族が出てくるかわからないからな」 ショウを先頭にネイサン、アーロン、ジン、ガイルの五人は深い森の中を馬に乗り捜索していた。 管理されていないそこは鬱蒼としていて魔族がいつ現れてもおかしくない雰囲気だ。 辺りを警戒しながら捜索を続け三十分ほど経った頃だった。 「ショウ様!あと少し、ここまっすぐ進めば東側の集落になります!」 ネイサンの後ろにいたアーロンが声をあげた。ネイサンはアエレ村の隣町出身で、子供のころは自然の多いこの村でよく遊んでいた。今回の魔族討伐部隊も仲の良い友人がこの村出身という事がきっかけで自ら志願した。 アーロンは隊列を抜けると先頭にいるショウの隣に並んだ。 「ショウ様、ここから先はわたしが案内します」 「わかった、アーロン頼んだ」 アーロンは力強く頷くと馬を走らせショウの前に進む。 そこから五分ほど馬を走らせると、目の前には目的地の集落。 集落は西と東それぞれ一つずつあり、それぞれに小さな家がいくつも立ち並んでいる。 ショウたちは馬を近くの木で待機させ、一軒ずつ家の中を入って見回った。 「すいませーん、誰かいませんかー?」 「誰もいないな。部屋の中も綺麗なままだ・・・・・・。一体住人はどこにいるんだ」 ネイサンがふざけながら「神隠しだったり」と笑っている。それもそうだ。この調子で家の中を見て回って十軒目、どの家も綺麗なまま人がいないだけで魔族がいた形跡はなかった。 ー-ラスティさんからの連絡を待つしかないのか……。 ショウはそっと扉を閉め、誰もいない民家の壁に凭れる。一旦、王宮に帰るかそれとも住人を探し出すか……。陽はだんだん沈み、オレンジ色になっていく空を見上げ考え込んでいると、突然集落に響き渡るような声がショウの耳に届いた。 「いました!!村人です!!」 アーロンの声だ。 ショウとネイサンは急いで声がする方へ走る? 集落の一番端にある民家。その家の中、子供部屋のクローゼットの中からうさぎのぬいぐるみを抱いたまま蹲っている少年が一人。 少年の膝は小刻みに震え、アーロンが触ろうとすると今度は目に涙を溢れさせた。 「ご、ご、ごめんなさい!!もう戻るから、ゆ、許してください」 「謝らないで。君は一人なの?お家の人は?」 「じいちゃんたちは、ちゃんと用意してもらった家にいる。い、妹が・・・・・・ぬいぐるみないと寝れないっていうから、取りに来ただけなんだ。もう戻るから許して・・・・・・」 少年はぬいぐるみを抱えながら、がくがく体を震わせている。 ショウは安心させようと少年の前で片膝をつくと、優しく頭を撫でる。 「大丈夫、なにも怒ってない。俺たちは王宮の騎士団だ。ここに魔族が出たと聞いて駆け付けたんだ。……用意してもらった家とはどういう事だ?」 少年はショウの優しい声にやっと落ち着き、泣きはらした目を手の甲で擦り上げた。 「え?ここ立ち入り禁止になるんでしょ?昨日、隣町の町長さんが来て僕たち移動したんだけど……」 キョトンとした顔でショウたちを見上げる。 少年が嘘をついているとは思えなかった。

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