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同窓会4(※)
side 悠
マンションに帰るまでの道のり他愛もない会話をする。
今日あったことや、ニュース、行ってみたいところ...穏やかな蒼牙の口調が心地よい。
冷たい空気も蒼牙が側にいるだけで寒さなんか感じなくて。
ただ...信号で止まった時や、ふとした瞬間に視線を感じた。
少し高い位置にある顔を見れば、そこには熱い瞳。
俺がその視線に気付けばバツが悪そうに小さく笑い、直ぐに逸らされてしまうけれど。
穏やかな口調とは裏腹にその瞳は雄弁で...蒼牙が何を欲しているのかなんて分かりきっている。
.....そんなの、お前だけじゃないけどなー。
ガタッ....ガタン!
大きな音が暗い廊下に響く。
玄関には散らばった靴、そして足下には互いのコートが広がる。
「んっ、ハッ...そう、が...」
求められるままに口付けを繰り返し、寝室に繋がる扉に押し付けられたまま互いの衣服を乱していく。
「悠さん....」
至近距離から見つめられ首筋に顔が埋まる。
チュ....と強く吸われると、全身に甘い痺れが走った。
「は...良い匂い...ごめん、ちょっと自制効かないかもしれない...!」
「ん、ンアッ...!」
シャツのボタンを全て外されインナーをたくし上げると、蒼牙は身を屈めて胸に吸い付いてきた。
クリクリと舌先で転がされ、時に舐め上げる。
立ち上がった胸の突起を指で挟み込むと、刺激を送りながら反対の尖りに舌を伸ばす....
「っ...は、」
漏れそうになる喘ぎを口を覆うことで何とか我慢する。
扉を開けさえすればそこにはベッドがあると言うのに、こうして廊下で強く求められていることが恥ずかしい。
けれど、蒼牙のその余裕のない様に喜びを感じているのも確かで...
チュ、クチ...チュッ....
淫らな音が聞こえる。
飽きもせずそこばかりを攻めてくる蒼牙の頭に手を添え、束ねていた髪をほどいた。
『自制が効かない』なんて...そんなの俺もだ。
路地裏でわざと蒼牙を煽るような真似をした。
けど、こうなると分かっていて仕掛けたのは、きっとアルコールのせい。
そう思っていないと恥ずかしすぎる....
「考え事...?余裕、まだあるね。」
顔を上げた蒼牙が少し意地悪く笑う。
その口調と妖しく光る蒼い瞳は可愛い犬なんかじゃない。
ゾクッとするほど綺麗な微笑みは、その一方で俺に警鐘を鳴らす。
「蒼牙...うわっ!」
「っと、ほら掴まって。」
急に抱き上げられ慌てて服を掴んだ。
そのまま蒼牙は器用に寝室の扉を開く。
ガチャ....
けして乱暴に開けた訳ではないのに、その音はやけに大きく聞こえた。
「...少しだけ待ってて。」
真っ直ぐにベッドに向かうと、バサリと布団を捲りシーツの上に下ろされる。
額にキスを落としながら囁かれた言葉に小さく頷いた。
蒼牙がスタンドライトを灯す。
ハッキリと見えるようになったその姿に、知らずと体が緊張してしまう。
「蒼牙...はやく...」
心の中で呟いた筈の言葉を無意識に口にしていた。
振り向いた蒼牙が綺麗に微笑んでくれる。
伸ばした手を掴まれ、引き寄せたしなやかな体を強く抱き締めれば…それ以上の力で抱き締め返されたー。
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