302 / 347

同窓会6(※)

side 蒼牙 スタンドライトだけが灯った部屋で、すらりとした手足がおずおずと動く。  ベッドに座り込みその様を見下ろしながら、口の端が上がっていることに気づいた。  目の前では俺からの要求に何とか抵抗しようとしている悠さんの姿があって。 「ほら、お願い。悠...」 握っていた悠さん自身を解放し、代わりに細い手を握る。 その手にキスを送りながらじっと悠さんの瞳を見つめた。 戸惑いに揺らめく瞳が色っぽい。 今すぐにでも貪り尽くしたい欲望を抑えつけ細い指先に軽く歯を立てれば、「ンッ、」と眉を寄せる反応が愛しい。 このまま声が掠れるほどに愛したい。 快楽に流す涙を舐めとり、奥深くまで自分を刻み付けたい。 だけど... 「.....なんで、そんなこと...」 震える声が紡ぐ言葉にニッコリと微笑んで見せる。 「悠の『特別』が見たい...」 体を屈め柔らかい黒髪に口付ける。 大きく息を吸えば愛しい香りが胸一杯に広がり、落ち着くような...でも駆り立てられるような不思議な気分になる。 瞳を閉じ、先ほどの悠さんの様子を思い出す。 同窓会からの帰り悠さんは嬉しそうだった。 俺の知らないこの人の過去を、彼らは知っている。 たったそれだけのことが羨ましくて、悔しくて.... 言ってもどうしようもないことにまで嫉妬した。 自分の嫉妬深さが、欲深さが異常なことぐらい分かってる。 けど、悠さんに関わることは全て手に入れたいと...そう欲してしまう。 「....あの人たちも知らないことを」 「『あの人たち』?」 髪に顔を埋めたままボソッと囁いた言葉を拾われる。 この人の過去も今も、未来だって...全部俺のものだ。 そんな想いに突き動かされる。 玄関に入った途端に獣のように求めた俺を、悠さんは受け入れてくれて。 そうして、どこまでも受け入れてくれるこの人に甘えて...嫌がるであろうことを要求する。 でも見せてほしい。 『彼ら』も知らない悠さんの姿を、俺だけに見せてほしい。 そうすれば、彼らが悠さんと過ごした覆しようのない『過去』に少しでも近づける...そんな気がする。 「貴方しか知らない『姿』を。俺にも見せて...」 微笑みの中に醜い独占欲を隠し懇願するように囁けば、伸びてきた腕が俺の首に回された。 「.........本当にお前は...バカだな。」 その声は優しくて。 回された手が後頭部を撫でる。 「悠...?」 「そんなバカなお前が好きなんだから、俺はもっとバカだな。」 クスッと笑いながらそう言うと、悠さんは俺の肩を押し戻した。 「....分かったから、お前も服脱げ。俺一人恥ずかしいだろうが。」 「ん?ああ...ほんとだ」 薄暗くて分かるほどに悠さんの顔が赤い。 言われるがままに乱されていた服をバサリと脱げば「っ、」と息を飲む音が聞こえた。 「蒼牙...ン..」 チュク...クチュ、チュッ... 「はっ....悠...ン...」 引き寄せられるままに唇を重ねる。 互いが口を開き、貪るように舌を絡める。 やがて俺の首に回されていた腕が離れていくのを感じ、うっすらと瞳を開ければ目尻を赤く染めた悠さんと目が合った。 「ん、ハッ....っ、」 ゆっくりと体を離す。 ああ....なんて愛しいのだろうか。 視線をずらしたその先には自身に指を絡め、快感を追おうとしている淫らな姿。 「あ...蒼牙、ッ...」 俺の名前を呼びながら自らを慰める姿に、喉が鳴ったー。

ともだちにシェアしよう!