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看病5
side 悠
「...ん、」
ゆっくりと目を開ける。
小さな灯りだけが点された寝室。
リビングに居たはずなのにいつの間にベッドに運ばれていたのか...
「そう、が...?」
小さく名前を呼び後ろを振り向く。
「............」
そこには綺麗な寝顔があって規則正しい寝息にホッとした。
良かった...居た。
寝返りをうって蒼牙の身体にすり寄る。
自分が今までにないくらい寂しがりになっている自覚があるだけに、これ以上迷惑をかけたくはないが。
それでも...今は蒼牙に側にいてほしい。
腕を持ち上げその広い胸に回す。
ギュッ...と抱き着けば、不意にこめかみに柔らかい感触が触れた。
「...辛いですか?身体...」
柔らかい声が頭上から降ってきて、顔を埋めたまま首を振った。
起こしてしまったことが申し訳ない。
「良かった。....水は?喉乾いてないですか?」
そう言いながら大きな手が頭を撫でてくる。
安心できる温かい手。
「いらない...それより、このままが良い...」
「...そう。じゃあ、欲しくなったら言って下さいね。」
回した腕に僅かに力を込め頷いた。
...温かい。
ここはこんなにも居心地が良い。
どんな高級で温かい毛布に包まれるよりも、蒼牙が側に居てくれるのが一番温かい。
安心できるこの場所に、また涙が出そうになるのを堪えた。
「...落ち着きますね。」
「え...?」
腰に長い腕が絡まり抱き寄せるようにグッと力を込められた。
「悠さんが居てくれるだけで、こんなにも落ち着く...温かくて安心できる。」
「っ、」
小さな声で囁かれた言葉。
...蒼牙も同じように思ってくれている。
その事実が嬉しくて、じわりと目頭が熱くなった。
どうしてこんなに涙脆くなっているのか、情緒不安定な自分が恥ずかしい。
だけど弱い自分をさらけ出せるのも蒼牙にだけで。
「....そ、..っ、」
「..............」
俺も同じなのだと、そう返事がしたいのに喉が詰まって言葉にできない。
やがて腰を抱いていた手が背中を擦り、落ち着かせるようにポンポン...と叩かれた。
....ああ、やっぱりよく似ている。
ナオちゃんも俺を安心させようと同じようにしてくれた。
だけどあの時感じた寂しさと、今感じているものは全く違っていて。
「...ありがとう、蒼牙....」
『愛してる』と想いを込めて囁く。
「ん...おやすみなさい、悠さん。」
抱き締めてくる腕の温かさと蒼牙の香りに包まれ、俺は瞳を閉じたー。
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