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その後2(微※)
「なんで目を閉じてるんだ。」
「暴走しない為です...」
「何だ、それ。」
男二人が入るには狭い湯船の中、向かい合った悠さんがクスクスと笑う。
触れる足から伝わってくる熱。
悠さんの動きに合わせて波立つ湯。
浴室内に響く柔らかい笑い声。
その全てに煽られる。
だけど...
さっきから抱き寄せたい衝動と戦い、なんとか理性で己の欲を押さえつけることに専念している。
バカみたいに期待しながら待つこと数分。
『入るぞ』と扉を開き姿を現した悠さんに、思わず咳き込んでしまった。
『ゴホッ...!ちょ、前くらい隠して下さい!』
『はあ?今さらだろ、そんなの。』
『そうですけど!もうあんまり俺を煽らない、で....』
『...どうした?』
言葉を失った俺に、体を洗いながら悠さんが首を傾げた。
『...悠さん...痩せましたね。』
『そうか?まぁ、数日は食べられなかったしな。』
もともと引き締まり細かった身体。
だけど今はそれよりもさらに細くなっていて。
病み上がりだからだけじゃない。
最近は忙しくしてたから...
しなやかな身体に沸き起こる欲と、それに反する思い。
やっぱり無理はさせたくない...
湯船に入ってくる悠さんから視線を反らし小さく息を吐いた。
愛しい人の裸を前に己の欲を抑えるには、見ないのが一番だ。
安易な考えだけどこの状況を堪えるにはそれしか方法はないように思えた。
「蒼牙」
「なんですか?」
目を閉じたまま返事をすれば、向かいで寛いでいた悠さんが動くのが分かった。
「...ほんと、手のかかるやつ。」
「ん...!」
小さく笑い呟かれた言葉に続いて、柔らかい感触が唇に触れた。
驚き瞳を開けば、ニッと笑いながら濡れた前髪をかきあげている悠さんと目が合った。
「お前が何に遠慮してるかは分かるけどな。でも俺にもお前を欲しがる気持ちがあるってことに気付け、バカが。」
「っ、けど...」
どこか色っぽい仕草。
そうして見せられた男らしい笑顔と告げられたセリフに、心臓が跳ね上がる。
それでも躊躇っていればギュッと抱き締められた。
「女じゃ無いんだから平気だ。だから...」
耳元で小さく落とされる愛しい声。
「ああ、もう...!」
「ンッ....蒼牙......」
囁かれた台詞に我慢なんかできなくて。
乱暴に唇を奪い抱き着いてくる身体に腕を回した。
キツく抱き締め、差し込んだ舌で温かい口の中をなぞる。
名前を呼ぶその声すら飲み込み、クチュクチュと音を響かせながら互いの舌を絡めていった。
「...はっ、悠さん...」
長いキスから唇を解放した時には銀糸が二人を繋いでいて。
「..........」
無言で微笑むと、また悠さんから口付けてくる。
『だから...抱けよ』
耳に残り消えない悠さんの言葉と抱き締めた身体から伝わる熱。
そして...クラクラと目眩がしそうなほどの香り。
「熱が出たら、ちゃんと俺が看るから....」
「ん...」
白い首筋に吸い付きながら囁けば、クスッと笑われたー。
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