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看病 終(※)
side 悠
浴室内にグチュグチュと淫らな音と、それに連動するように湯が跳ねる音が響く。
中で主張する蒼牙自身にゆっくりと何度も揺さぶられ目眩がする。
火照った身体を流れるのが湯なのか汗なのか分からない。
ただ背中に触れる蒼牙の身体が熱くて。
きっと同じように自分の身体も熱を持っているのだろう...そう思わせた。
「ハッ...考え事...?」
「ンン...フッ...!」
後ろから顎を持ち上げられ唇を奪われる。
差し込まれた舌が生き物のように口の中を蠢き、俺からも絡めればチュッ...と吸い上げられた。
「...いい顔...」
「何を、ん...ッ...」
唇を指でなぞりフッと笑って見せると、止まっていた腰の動きが再開される。
大きな手が身体の線をなぞっていく。
「っ、あ...!」
腹部を這い上がり胸元を揉み込むと、そのまま乳首をキュッと摘ままれた。
さんざん弄られたそこは紅く尖り軽く引っ張られただけでも声が出てしまう。
そうして指先で弾きながら耳を食まれるとどうしようもなく感じてしまって...
「ッ...今すごく絞まった。こうされるの気持ちいい?」
「うるさ...あぁっ!」
欲に濡れた甘い声が囁き、何度も同じように胸を弄られる。
耳元に掛かる熱の籠った吐息。
それにすら腹の底が疼き自分でも分かるほどに蒼牙を締め付けてしまう。
その締め付けに抗いながら押し入ってきては、奥を刺激するようにグリグリと腰を回される。
「ん、俺も気持ちいい...そろそろいくよ。」
「え...んぁあ...!」
身体を起こした蒼牙に腰を固定され後ろから一気に突き上げられた。
繋がった場所が熱い。
俺の身体を高める為ではない、己の欲を追いかける蒼牙の動きに翻弄される。
壁に手をつき快感を逃そうと大きく息を吐き出すが、激しい揺さぶりに思うように逃すことができない。
「ぁっ、ん、ンッ...!」
浴室に響く淫らな声が恥ずかしい。
『女じゃ無い』と言っておきながら口から漏れるのは女のような喘ぎで。
「ま、て...蒼牙...ンァッ、ぁっ...」
「無理、誘ったのは悠なんだから...っ、ちゃんと付き合って...クッ!」
バシャバシャと波立つ湯が肩にかかり流れ落ちていく。
それを舐めとるように蒼牙の熱い舌が肩を上り、うなじを強く吸われた。
「う...ん、.....ッ.....!」
長い指が俺自身に絡み強く扱かれる。
強すぎる快感に蒼牙の手を掴み止めようとするが、力なんか入らなくて。
「そうが...っあ、もダメだ...ぁッ...」
「はっ、、その顔、反則...っ」
「ンン、ん...っ、」
肩越しに見つめれば壮絶な色気を纏った蒼牙に口付けられる。
喘ぎも吐息も...全てを飲み込むかのような深い口付けに夢中で応えれば、蒼牙の動きが激しさを増す。
駆け上がっていく射精感に、無意識の内に蒼牙の手を引っ掻いていた。
「っ、んぁぁッ...!」
「クッ...!」
やがて蒼牙の容赦ない攻めに堪えきれず自身が欲を放った。
同時に最奥に熱い塊が打ち込まれ身体が快感に震える。
「あ、ぁ...」
俺の中で蒼牙自身がドクドクと脈打ち熱が広がっていくのを感じながら、腹をゆっくりと撫でた。
この瞬間が愛しい...
なんて、調子に乗るから絶対に伝えないけど。
だけど身体が悦んでいるのは事実だ。
「はっ...ン...」
身体から力が抜けていく。
バカみたいに心身ともに満たされている。
浴槽の縁に半身を預けハァハァと息を整えていれば、ゆっくりと蒼牙が俺の中から抜け出ていくのが分かった。
「...大丈夫?」
「ん...」
大きな手が頭を撫でてくる。
その感覚が気持ち良くて目を瞑れば、グイッと抱き起こされた。
気付けば広い胸元に寄りかかるようにして抱き締められていて。
温かい湯の中、背後から優しく抱き締められる心地よさに大きく息を吐いた。
「...身体ツラいだろ。このまま少し休んで。」
「ん、ありがとう...」
ギュッと抱き締めながら囁く言葉につい笑ってしまう。
頭を蒼牙の肩に預ければ、首筋に温かい唇が触れる。
その感触が擽ったくてクスクスと笑えば、困ったように蒼牙が呟いた。
「あんまり可愛い反応しないでくれる?欲しいの我慢するの大変なんだから...」
「バカだろ...」
腰に当たる蒼牙自身がまだ硬いことに気付いていただけに、余計おかしくて笑いが溢れた。
まだ蒼牙を感じたいのは俺だって同じだ。
だけど...きっとコイツが我慢しているのはそれだけじゃない。
「...続きはまたな。ごめん、流石に今日はキツい。」
「大丈夫、分かってる。だからちょっと休んで。」
穏やかで優しい声にチラッと視線を寄越せば、蒼牙は少し心配そうに俺を見つめていて。
安心させるように微笑んで見せれば蒼い瞳が柔らいでいく。
可愛いヤツ。
遠慮して、俺から誘わなければセックスだって我慢しようとしていた。
こうやってスイッチが入っていても、俺の身体を気遣って己の本能を抑える優しい男。
怠い腕を上げ頬にソッと触れた。
「体力が戻ったら...」
「ん?」
蒼牙が手を握り返しチュッと指先にキスを落とす。
その唇を指で軽く挟み、俺はニッと笑って見せた。
「体力が戻ったら、吸ってくれよ?」
「っ!?」
驚いたような表情で言葉を失う蒼牙が愛しい。
次いで赤く染まっていく顔がやっぱり可愛くて。
「フッ、アハハハハ...!」
思わず吹き出せば、蒼牙の抱き締めてくる長い腕に力がこもった。
「ほんと、貴方には敵わない....」
呟く声はどこか悔しそうで。
項垂れる蒼牙の頭を撫でながら、ますます笑いが溢れたー。
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