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甘い時間4

「な…今、まさか飲んだの、か…?」 口元を拭う蒼牙に震える声で問う。 いや、聞かなくても分かってる…コイツ、飲みやがった…! 一気に顔に血が集まる。 「…ごちそうさま。」 二ッと笑いながら頬を撫でてくる。 満足そうな顔。 こっちはそんな余裕なんか無いのに…。 「ホント、お前性格悪い…せめて口直ししてくれ。」 泣きたいような、申し訳ないような…変な気持ちでそう言うと、チョコを摘まんで蒼牙の口に押し付けた。 素直に口を開けたかと思うと指ごと口に含まれる。 「…ンッ!」 手首を掴まれ、逃げられない。 器用にチョコを飲み込み指に舌を絡ませる。 「蒼牙…ンッ!」 目を閉じ指先から伝わる熱に耐える。 「…ここも甘いね。」 指から手の平、手首にまで舌を這わせながらそんなことを言われる。 「う、…ア…!」 …ピチャ 音と共に手を解放すると、蒼牙はギュッと抱き締めてきた。 震える手を伸ばし、背中に回す。 …暖かい。 されたことはかなり恥ずかしいのに、この腕の中はひどく安心する。 「…フゥ…。」 「…ッ…」 耳元に蒼牙の堪えるような溜め息を感じ、まだ残っていた快感の余韻が背筋を這う。 「今日はこれで我慢する約束だから…。」 そう言うと蒼牙は身体を起こし、乱れたズボンと下着を直してくれる。 「…ッ…お前は、良いのか?」 蒼牙の下半身に目を向ける。そこは膨らみ、蒼牙も興奮していることを顕著に示していた。 「ん、大丈夫。…これ以上のことさせたら、本当に死んじゃいそうだし。」 「…でも、」 「それとも、お酒飲む?」 いたずらっ子のような表情でそんな事を言われる。一瞬何を言われたのか解らなかったが、昨夜の自分の乱れようを思い出す。 酒に酔って恥ずかしげもなく何度もコイツを求めた。 「…ッ…!お、まえ…本当に性格悪いな!」 真っ赤な顔で睨んでも迫力なんか無いだろうが、睨まずにはいられない。 クスクスと愉しそうに笑われ、「…たまにはあれくらい乱れてね。」と続けられたー。

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