64 / 347
甘い時間6(※流血表現有)
裸の胸に抱き締めていたため、蒼牙の唇が直に肌に触れ擽ったい。
「…ン、」
先ほどの快感で身体は敏感になっていて、つい身動ぐ。
チュッ、チユ…
俺の反応に気付いた蒼牙の唇が肌を吸ってくる。
強くはない吸い付きに、ほんのりと色付く肌を長い指がなぞる。
「…綺麗な肌。俺にしか見せないで。」
そう言って心臓の真上を強く吸われた。
「ンッ!」
チュッ…
音をたてて離されたそこには、くっきりとしたキスマークが付いていて。
初めて身体を重ねた日にも付けられたそれ。
消えて無くなっていた所有印を新たに付けられたことに、満たされた思いがした。
「…俺も付けたい。」
蒼牙の顔を上げさせそう囁けば、
「…いいよ。」
と艶然と笑う。
余裕のある態度に少し悔しい気もして、首筋に強く吸い付いた。
チユ…チュー…
唇を離しそこを確認する。
紅い痕が陽に焼けていない肌に刻まれていた。
「…お前は俺のものだよ。」
強い独占欲に襲われ、反対側の首筋にも吸い付いた。
「ンッ…」
蒼牙の色っぽい声が耳元に落とされる。
それが嬉しくて、付けたキスマークに舌を這わした。
「…ッ…悠、これ拷問に近いんだけど…。」
困ったような声にハッとした。
「わ、悪い!」
慌てて身体を離そうとするが、長い腕で腰を抱き寄せられ失敗する。
「ホント、無自覚だから困る。」
囁きながら首筋に唇が近づく。
ドクン、ドクンと心臓の音が聞こえた。
「…貴方も俺のものだ。」
そう言うと蒼牙は俺の首筋に噛み付いてきたー。
「ンッ…あ、」
首筋に当たる蒼牙の唇。
ガリッと噛み付かれ痛みが走ったのは一瞬で、あとはジワジワと広がる熱を感じる。
…ピチャ、チユ…チュー
蒼牙が俺の血を吸っている音だけが、やけにハッキリと聞こえる。
不思議な感覚。
性的な刺激とは違う、なのにもっと欲しくなるような、そんな感覚に身を震わせた。
「…ンッ…大丈夫?」
一度唇を離し顔を覗いてくる。
その唇には赤い血。
まるで口紅でもついているかのようで…
…女とキスしたみたいだ
だんだんとボヤける頭でそんなことを考えた。
「ハ…ン、だいじょぶ…だから…ア、お前の痕、のこ、せ…」
そう言うと蒼牙は恐ろしく綺麗に微笑み、また首筋に顔を埋めた。
触れる唇から広がる熱と襲ってくる眠気。
蒼牙の頭に手を添えたまま、俺は意識を手放していったー。
ともだちにシェアしよう!