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甘い時間6(※流血表現有)

裸の胸に抱き締めていたため、蒼牙の唇が直に肌に触れ擽ったい。 「…ン、」 先ほどの快感で身体は敏感になっていて、つい身動ぐ。 チュッ、チユ… 俺の反応に気付いた蒼牙の唇が肌を吸ってくる。 強くはない吸い付きに、ほんのりと色付く肌を長い指がなぞる。 「…綺麗な肌。俺にしか見せないで。」 そう言って心臓の真上を強く吸われた。 「ンッ!」 チュッ… 音をたてて離されたそこには、くっきりとしたキスマークが付いていて。 初めて身体を重ねた日にも付けられたそれ。 消えて無くなっていた所有印を新たに付けられたことに、満たされた思いがした。 「…俺も付けたい。」 蒼牙の顔を上げさせそう囁けば、 「…いいよ。」 と艶然と笑う。 余裕のある態度に少し悔しい気もして、首筋に強く吸い付いた。 チユ…チュー… 唇を離しそこを確認する。 紅い痕が陽に焼けていない肌に刻まれていた。 「…お前は俺のものだよ。」 強い独占欲に襲われ、反対側の首筋にも吸い付いた。 「ンッ…」 蒼牙の色っぽい声が耳元に落とされる。 それが嬉しくて、付けたキスマークに舌を這わした。 「…ッ…悠、これ拷問に近いんだけど…。」 困ったような声にハッとした。 「わ、悪い!」 慌てて身体を離そうとするが、長い腕で腰を抱き寄せられ失敗する。 「ホント、無自覚だから困る。」 囁きながら首筋に唇が近づく。 ドクン、ドクンと心臓の音が聞こえた。 「…貴方も俺のものだ。」 そう言うと蒼牙は俺の首筋に噛み付いてきたー。 「ンッ…あ、」 首筋に当たる蒼牙の唇。 ガリッと噛み付かれ痛みが走ったのは一瞬で、あとはジワジワと広がる熱を感じる。 …ピチャ、チユ…チュー 蒼牙が俺の血を吸っている音だけが、やけにハッキリと聞こえる。 不思議な感覚。 性的な刺激とは違う、なのにもっと欲しくなるような、そんな感覚に身を震わせた。 「…ンッ…大丈夫?」 一度唇を離し顔を覗いてくる。 その唇には赤い血。 まるで口紅でもついているかのようで… …女とキスしたみたいだ だんだんとボヤける頭でそんなことを考えた。 「ハ…ン、だいじょぶ…だから…ア、お前の痕、のこ、せ…」 そう言うと蒼牙は恐ろしく綺麗に微笑み、また首筋に顔を埋めた。 触れる唇から広がる熱と襲ってくる眠気。 蒼牙の頭に手を添えたまま、俺は意識を手放していったー。

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