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独白

side 蒼牙 週末に悠さんからチョコを貰い、本当に嬉しくて色々やらかしてしまった。 次の日、悠さんが起きたのは昼近くで、凄く慌てて『悪い!寝すぎた。』と謝ってきた。 いつもきっちりしているあの人が寝過ごすなんて、原因は俺しかないんだから…謝る必要なんて無いんだけどな。 時計を確認するともう出勤時間で、荷物を持って玄関を出た。 何だか自分のアパートから出勤するのも久しぶりな気がする。 鍵を掛けながら、悠さんがいてくれたら『いってきます』が言えたのに…と物足りなさを感じていた。 今日も内藤くんと勤務が被っていて、スタッフルームで鉢合わせた。挨拶を済ませ着替えを始めると、横からまた視線を感じた。 「お前…今日もスゲーな…」 しみじみと呟かれ、笑いが溢れた。 今回は自分でも自覚があるから、ロッカーの鏡で首筋を覗いた。 くっきりと付いたキスマークが左右に2つある。 『…お前は俺のものだよ。』 そう囁いて、強く吸い付いてきた悠さん。 あの時の濡れた瞳と唇の感触、熱い舌、吐息… 全てが俺を煽ってきて、抱きたいのを必死で我慢した。 …だけど、本能には逆らえなくて。 初めて『血が欲しい』と告げた。 ずっと、悠さんのことを愛している最中から欲しくて欲しくて堪らなかった。 甘い喘ぎをあげ身体を捩る度に、芳醇な悠さんの香りが誘惑してきた。 一度口にしてしまうと、二度と止められなくなりそうな悠さんの血。 今だって思い出しただけで欲しくなる。 『お前の痕、残せ』 意識を失う寸前に悠さんが洩らした言葉に、身体中が熱くなった。 下手したらイキそうなくらい興奮したのは事実で。 眠ってしまった貴方を抱き締めたまま、首筋を吸い続けていた。 …そのせいで昨日は少しダルそうで、歯止めが効かなかったことを後悔した。 溜め息が溢れる。 どんなに後悔しても、俺は貴方を求めることを止められない。 その度に後悔して、そんな俺を貴方は笑って許してくれるのだろう。 貴方の優しさにつけこむ卑怯な俺。 …それでも、貴方の側にいることを許して欲しいんですー。

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