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電話
「お疲れさまでした。」
職場の仲間に声を掛け裏口からホテルを出た。腕時計を確認する。
…まだ悠さん帰ってないだろうな。
今日は晩飯を作って待っていようとスーパーに寄る。
…何にしようか。
『心配しなくても、レバー食えば良くなる。』
昨日、ダルそうにソファーに座って笑いながら言った悠さんを思い出す。
レバニラにでもしようかな…
店内を回りながらメニューを考えていると、ポケットのスマホが震えた。取り出して画面を確認する。
『雛森 清司』
その名前を見て、眉間にシワがよる。
…出たくないな。
暫く眺めていると留守電に切り替わるが、メッセージを残さず切られまた着信を告げる。
「…はい。」
いつまでも無視する訳にもいかないか…。
仕方なく電話をとった。
『蒼牙か?久しぶりだな!』
電話の向こうから聞こえる明るい声。
俺の苦手な声の持ち主。
「…お久しぶりです。叔父さん」
切ってしまいたい気持ちを抑えながら、俺は電話を続けたー。
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