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明かす2
蒼牙の呟きの意味が分からなくて「どういうことだ?」と聞き返した。
蒼牙は下に向けていた顔を上げ俺を見つめると、手を伸ばし前髪に触れてくる。
「そのままの意味だよ。あの人は吸血鬼として、貴方に目を付けた。…悠、本当に良い匂いだから…甘くて濃い‥淫らで堪らない香り。」
そう言って首筋に鼻を近づけクンッと嗅いでくる。
「…ッ…!なんだ、それ。」
「…それと、これが一番やっかいなんだけど…」
そこまで言って蒼牙は言葉を切る。
「…蒼牙?」
顔を覗き込むと急に強い力で抱きすくめられた。
「…多分、清司さんは…貴方に心惹かれてる。」
「…え…?」
蒼牙の言っていることがますます分からない。
心惹かれてる?
雛森さんが、俺に?
「いや、何言って…」
蒼牙の肩に手を当て身体を離そうとしたが、逆に力を込められ失敗する。
「…悠は自分の魅力、分かってないから…それに、」
「…それに、何だよ。」
蒼牙は溜め息を吐くと、首筋にキスを落とす。
「…無自覚に人を煽る天才だから。…ここに付けてた俺の痕、見せたでしょ。」
「…ン、そんなこと、」
『そんなことしてない。』
言いかけて言葉を失った。
…見せた訳ではないが、あの時ネクタイを弛めたことを思い出したからだ。
「…ほら、やっぱり。…あのね、見せつけるのは大歓迎だけど、相手を引っかけるのはダメ。…特に清司さんみたいなタイプは。」
「…引っかけるってなんだよ。」
蒼牙の言葉に戸惑う。
引っかけるつもりなんてないし、だいたい雛森さんが俺に…って言うのも勘違いかもしれないじゃないか。
その事を伝えると、蒼牙はやや呆れたように溜め息を吐いた。
「本当に自覚ないな…勘違いなんかじゃないよ。俺も同じだから分かる。」
「……。」
「とにかく、清司さんは色んな意味で貴方を狙ってるんだから、絶対に二人きりにならないこと。」
「…ん。」
強い口調で言われ、腑に落ちないながらも返事をした。
「…悠がそのつもりじゃなくても、相手が引っ掛かるんだから…ホント、無自覚って怖いな。」
「……。」
それでも、その声にはいつもの調子が戻っていて安心する。
「…蒼牙」
「…なに?」
「俺は、お前のものだよ。」
「……。」
「だから、余計な心配するな。」
強く抱き締めてくる腕と首筋に当たる吐息。
心地よいその温もりに、俺は瞳を閉じたー。
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