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昂る(※R18)
店を出てから近くのビジネスホテルに入った。
スーツ姿の悠さんがラブホに入るのを嫌がったから選んだけど…逆にドキドキしてしまうのは何故だろう。
鍵を開けて入る悠さんを見て、そうか…仕事の出張先にいるみたいなんだとボンヤリと考える。
コスプレやシチュエーションセックスをしたいと思ったことはないけど、それに似たような環境になっていることに変な興奮を覚える。
「…蒼牙?」
あれこれ想像していると、上着をハンガーに掛けた悠さんがネクタイを緩めながら近付いてきた。
…ッ…ヤバイ、色っぽい。
だけど、
「悠さん、ネクタイ絞めて。」
「…は?」
俺がそう言うと、悠さんは不思議そうに見上げてきた。
どうしてだ?という表情をしながらも、ネクタイをまた絞め直す悠さんを正面から抱き締めた。
「…今日は俺に全部脱がさせて下さい。」
そう囁くと、悠さんは耳まで一気に真っ赤になる。
「おま、何言って…ンッ!」
喋る悠さんの口をキスで塞ぎ腰に手を回した。
シャツ越しに背中を緩く撫でると、途端にビクッと強ばる身体。
何度抱いても飽きることのないこの人に、気持ちも身体も熱くなる。
「ンッ…そ、うが…ハァ…」
舌を絡め唾液を混ぜる。
ピチャ、クチュ…
音を響かせながら口腔内を堪能し、悠さんの首元に手を這わした。
キスしながらネクタイをゆっくりと緩める。
…シュル…シュ、パサッ…
床にネクタイを落とし悠さんの目を見つめた。
「…なんだか、いけないことしてる気分。」
カッターシャツのボタンを外しながら囁くと、「…うるさい。」と憎まれ口が聞こえた。
ベッドに悠さんを座らせ、ゆっくりと服を脱がした。
袖を引っ張りシャツを脱がせると、肩に手を置いて小さく囁く。
「…まだシャワー浴びてない。」
恥ずかしそうな声。
少し震える指先。
逃げるように後ろに引く身体。
こうやって受け身になると見せる可愛い反応。
それが男を煽るって分かってない。
「…じゃあ、一緒に浴びる?」
首筋に唇で触れながら囁くと「…ッ…ンアッ!」と声を詰める。
その鼻から抜けるような息づかいに全身に甘い擽ったさが走った。
…ホント、堪らない。
もっと見たい、聴きたい。
そんな際限ない欲望が俺を動かした。
ゆっくりと舐め上げながら腕を引く。
そのまま悠さんを立たせると、俺は手を引いてバスルームに向かったー。
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