95 / 347
昂る2(※)
改装されたばかりのバスルームは何とか男二人で入るだけの広さを保っている。
天井が低いのは仕方ないか…。
シャワーを流し熱い湯が出るのを待つ間に、悠さんのベルトに手を伸ばした。
「…ッ…自分で脱ぐ。」
恥ずかしそうに俺の手を止めようとするのを、顔を覗き込んで遮る。
「ダメ。言ったでしょ、俺が全部するって。」
そう言ってフロントを寛げると、「じゃあお前も脱いでくれ…。」と弱々しい声が聞こえた。
「…今日はやけに恥ずかしがるね。どうしたの?」
脱がすことが初めてでもないのに、と不思議に思い聞くと「……から。」と小さく呟く。
「なに?もう一回言って?」
顔を赤くして泣きそうな悠さんの瞼に優しく口付けながら問う。
「…だから、お前が…仕事服のままだから、」
そう言われて初めて気付いた。
そうだ心配のあまり急いで帰ったから、着替えずに制服のままだった…。
じゃあもしかして…
このいつもと違うシチュエーションに興奮しているのは、俺だけじゃないのかもしれない。
「…俺が制服のままだから緊張してるんだ?それとも興奮してる?」
少し意地悪く訊ねると、「…ッ…お前、性格悪い。」と聞き慣れたセリフを返された。
「…悠、俺の制服姿好きなんだ。」
嬉しくなって確認するが、顔を反らしたまま何も言わない。
…沈黙は肯定と同じなのにね。
「…大丈夫、この状況に興奮してるのは俺も同じだから。」
クスクス笑いながらそう言うと、悠さんの手を自分の中心に触れさせた。
恥ずかしがる悠さんの反応に煽られて、そこはすでに熱を持ち始めている。
「…ね?」
耳元に口付けながら囁くと小さく頷く。
その仕草が愛しくて、俺は性急に残りの悠さんの衣服を脱がしていったー。
温まった浴室に悠さんを押し込むと、俺は自分の服を脱いでいった。
上半身を脱ぎ、纏めていた髪をほどこうとすると、中から白い手が伸びてきた。
「…それは、俺にさせてくれ。」
悠さんの手が後頭部に回り、ゆっくりとゴムを引っ張る。
途端に広がった後ろ髪を撫で、悠さんは満足そうに微笑んだ。
「お前の髪がほどける瞬間...すごく好きだ。」
首に回された腕。
嬉しそうな、それでいて誘っているかのような声。
「…煽りすぎだよ」
俺の中で、何かが切れる音がしたー。
ともだちにシェアしよう!