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隣客の受難2
ゆっくりと耳元に口を寄せるとイケメンは囁いた。
「昨日は遅くまでお疲れさまでした。…あの人の声、最高だったでしょ。ちゃんと眠れた?」
「…ッ!!?」
…コイツ、気づいてたのか!?
しかも聞き耳たててたことも、息子が反応したことまで気付いてやがる!
…ヤバい、泣きそう。
なんか色々すみません。
硬直した俺に笑い掛けると、イケメンはゆっくりとスーツの男の元に戻る。
そして何か語り掛けたかと思うと、急に壁に押し付けキスをした。
「!!?」
もうビックリしすぎて声が出ない。
目の前で繰り広げられるラブシーンに釘付けになった。
ピチャと音をたてて舌を絡め、抵抗する手を壁に縫い付ける。
震えるスーツの男の耳を擽るように撫で、角度を変えて唇を重ねる。
男同士のキスシーンなんて見せられても気持ち悪いはずだ。
…なのに、目が離せない。
愛しそうに押さえつけ、口付けを送るイケメン。
抵抗を見せながらも、その情熱的な口付けに応えるスーツの男。
…二人がとても綺麗に見えた。
やがてゆっくりと唇を離し、イケメンが綺麗に微笑んだ。
あぁ、本当に愛しく思っているのだろう。
あまりの出来事に感動すら覚える。
けど、…ヤバい。
また下半身に熱が集まってきたよ…。
真っ赤になったまま固まっていた俺に、イケメンが振り向いた。
「バイバイ。聞き耳たてるのは良いけど、この人をオカズにしたらダメだよ。」
そう言って笑う顔は『オカズにしたら殺すよ?』と語っている。
はい!
絶対にオカズにしません!
あと朝食はもっと後にします!
俺は勢いよく扉を開けると、逃げるようにして中に入った。
心臓がバクバクと音をたてる。
出張先で信じられないような体験をしたよ。
…はぁ、それにしても。
下半身に目を向ける。
…これ、どうすればいいんだ。
泣きたいような気持ちで俺はその場にしゃがみこんだー。
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