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約束

side 蒼牙 清司さんから貰った旅館の食事券。 期限は付いていないが、出来れば行きたい日があった。 「悠さん、この日は休みがとれますか?」 嬉しそうに券を見ていた悠さんに声を掛けると、カレンダーを確認していた俺に視線を向ける。 「ん、いつだ?」 「ここ、5月19日。」 ニッコリ微笑んでそう言うと、悠さんは可笑しそうに笑った。 「その日に行きたいのか?」 「はい。だって泊まり掛けになるでしょ?ここで二日間も悠さんを独占できたら最高に嬉しいです。」 期待を込めて「だからお願いします。」と続けると、悠さんは綺麗に笑った。 「ん、分かった。有休とるよ。」 「やった!ありがとうございます。」 お礼を言いながら座っている悠さんを後ろから抱き締める。 ギュッと腕に力を込めると「雛森さんにもお礼言わないとな。」と頭を撫でられた。 この人のこういうさりげない子供扱いが俺を我が儘にさせる。 俺は悠さんのお腹に腕を回し、「気持ち良いからまだ撫でて下さい。」と甘えた。 クスクス笑う悠さんは、身体を反転させて俺に向い合わせになると、「撫でるだけで良いのか?」とイタズラっぽく笑う。 「…キスもしたいです。」 「…了解。」 素直に言うと、悠さんはニッコリと笑い頭を撫でてきた。 ゆっくりと撫でる手が心地よく、時々前髪を掻き揚げては離れていき、また撫でてくる。 「…ン、」 心地好さに目を瞑ると、ゆっくりと唇が重なってきた。 チュッ… 触れるだけのキスを繰り返し、悠さんの手が頬に添えられた。 目を開くと同じように見つめてくる瞳が見えて。 フワリと笑う悠さんが綺麗で、俺は我慢できずに自分から口付けた。 クチュ…、チュッ、ピチャ 深く口付け、舌を絡めた。 差し込んだ舌で悠さんの舌を捕まえ、自分の口腔内に招き入れる。 「ンッ…ハァ…、蒼牙」 優しく後頭部を撫でられ、髪をほどかれる。 いつしかセックスの合図になった悠さんからの行為に、身体が熱くなる。 「ンッ…休み、頑張ってとるから…」 口付けの合間に囁かれ、一度唇を離した。 「…だから、お前の誕生日は一緒に過ごそうな。」 そう言って悠さんは俺に抱き着いてきた。 視界に入った悠さんの耳が赤い。 恥ずかしいことなんて散々してきているのに、こうやって言葉にすることを一番恥ずかしがる。 …本当になんて可愛い人なんだろうー。

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