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安堵と欲望
同じように抱き締め返してくれる腕の強さに酔いしれる。
「悠さん。」
「んー…。」
名前を呼ばれて返事をすると、
「大好きです。」
耳に心地よい柔らかい声。
今このタイミングで、一番欲しかった言葉をくれる。
さっきまでの不安が嘘のように消えていく。
蒼牙が俺のことをそう言ってくれるかぎり、俺はお前の側にいられるのだから。
「大好きです。」ともう一度囁きながら触れた唇は、泣きたくなるほど優しくて。
「…そう…ンッ…。」
キスの合間に名前を呼びたくても、離れた唇はすぐに重なってきて言葉を飲み込む。
段々と深くなる口付けに、身体の芯が熱を持ち始めるのが分かった。
…欲しい。
お前の全てを手に入れたい。
熱の籠った瞳で見つめれば、同じような目をした蒼牙と視線が絡まる。
「…蒼牙」
「…はい」
お前も同じ気持ちでいてくれているだろうか。
「待ってるから…来いよ。」
微笑みながらそう言うと、大きく目を見開いた後に綺麗に笑う。
…返事は口付けで返された。
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