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5月19日 Bar

「食事も美味かったな。食い過ぎた。」 夕食は二階にあるレストランでの豪勢な洋食だった。 温泉に入ってからの食事は思った以上に空腹だったことに気付かされ、焼き立てパンのサービスに甘えて食べまくった。 「ホント、悠さんがあんなに食べるの初めて見たかもしれません。」 「おー、誰かさんのせいで体力使ってるからな。腹も減るさ。」 厭味のつもりか返してくる悠さんに、俺も逃がすつもりはないと返事をした。 「しっかり食べてくれて良かった。…体力回復したでしょう?」 隣を歩く悠さんをチラリと見やる。 「…ッ」と言葉に詰まる姿に笑みが溢れた。 それにしても…浴衣姿の悠さんはヤバい。 襟から覗く項。 合わせから見える首筋。 短めの裾から出た足首。 歩くことで捲れる裾から現れるふくらはぎ。 ……。 …理性を保っている自分を褒めてあげたい。 きっと似合うだろうとは思っていたが…いざ目にすると想像以上の色気だった。 朝から事あるごとに触れまくっていたからか、悠さんの醸し出す雰囲気がしっとりとしていて、浴衣に着替えることでその艶めかしさが倍増した。 風呂上がりの清潔な香りと悠さん自身の甘い香りが鼻腔を擽り、今すぐにでもその首筋に喰いつき血も身体も奪いたくなる。 「なぁ、蒼牙。」 悠さんに声を掛けられハッとする。 「せっかくだし、飲みに行かないか?」 悠さんが指差す先にはBarがあった。 中には数人の客がいるらしく、薄暗い部屋の中からは独特の雰囲気が流れてくる。 「…良いですね。行きましょうか。」 ニッコリと浮かべた笑顔とは裏腹に頭の中は邪な考えが浮かぶ。 それが悠さんにバレないように笑ってみせた。 先に歩いて入っていく悠さんの後ろ姿を追う。 飲めばいつも以上に乱れる悠さんを想像して、俺はほくそ笑んだー。 「ね~、部屋においでよ。」 猫なで声が耳につく。 綺麗に化粧を施した女性の手が悠さんの肩に置かれた。 「ね?男二人じゃ楽しくないでしょ?」 俺の腕にも別の女性が手を絡めて誘ってくる。 二人で楽しく飲み、そろそろ部屋に帰ろうとしたその時。隣で飲んでいた女性達に声を掛けられた。 …困った。 さっきから視線を感じてはいたけど、こうもしつこいとは。 もう何度も断っているのに、アルコールが混ざった勢いもあってか引き下がってくれない。 どうしようかと頭を悩ませていると、横から手が伸びてきたー。

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