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5月19日 Bar2
「あんたらしつこいな。悪いけど俺達はもう戻るから、諦めてくれない?」
俺の腕に巻かれた女性の手を、やんわりと外しながら悠さんが言う。
穏やかに聞こえるが、実は不機嫌になっていることが表情で分かる。
「だから~私達の部屋に戻っておいでよ~。」
なおも引き下がらない女性達に悠さんはニッコリと笑って見せた。
「コイツ、女に興味ないヤツだから。」
「え~何それ?」
「…こういうこと。」
そう言うと悠さんは俺の襟をグッと掴み強く引っ張った。
…チュッ
唇に柔らかい感触が触れる。
「きゃあ!」
女性の小さな悲鳴と、固まる周りの客…と俺。
まさか悠さんが人前でキスを仕掛けてくるとは思ってなくて、唇を押さえて赤面してしまう。
「…じゃ、コイツのことは諦めてね。」
周りの空気は無視して、悠さんは俺の腕を引いて歩きだしたー。
部屋に戻ると布団が二組並べて敷いてあり、そこに後ろから突き飛ばされた。
「うわっ!!」
掛け布団をぐしゃぐしゃにしながら倒れ込む。
慌てて上向きになると、悠さんが俺の腹に馬乗りになってきて起き上がれない。
「え、悠さん…ッ…」
驚きに名前を呼ぶと、熱い唇が重なってきた。
…クチュ…
ゆっくりと堪能するように差し込まれた舌に、俺も絡めて応えた。
チュッ、クチュ…
「…ン、悠さん」
馬乗りになったままキスを仕掛けてくる悠さんの腰に手を這わす。
ゆっくりと撫で、背中を這い上がらせるとその手を掴んで悠さんが身体を起こした。
「…あんまり女にいい顔するな。ああいう時はキッパリと断れ、馬鹿。」
少し怒ったような口調。
でもそれが嬉しくて、「はい、すみません。」と笑顔で返した。
俺が悠さんの腰に手を添え起き上がると、首に回される腕。
「あのセリフ、懐かしいですね。」
クスクスと笑いながら額を合わせた。
「…あの日からお前は変わらないな。」
悠さんも笑いながら頬を撫でてくる。
その手を握りしめて、指先にキスをした。
『ゴメンね。コイツ、女に興味ないヤツだから、他あたったほうが賢明だよ。』
俺達が出会った時の悠さんの言葉。
あの日…この人に一目惚れした。
「…そんなことないですよ。あの言葉、本当になっちゃいました。」
興味の対象はただ一人。
腕の中の愛しい存在を抱き締めながら、俺はゆっくりと口付けていったー。
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