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告白
「外、寒かっただろ。」
俺には温かい紅茶を出して、悠さんはペットボトルの水を飲む。
風呂上がりで、いつもはセットしているサイドの髪も今は顔に掛かっていた。
髪を下ろしていたら年齢よりも若く見える。
洗いざらしの髪からはシャンプーの香りがして、悠さん自身の香りと混じり俺の理性を崩そうとする。
はっきり言って…かなり色っぽい。
水を飲む度に上下する喉、
髪の隙間から見える首筋、
無意識の内に目で追っていた。
「蒼牙?」
声を掛けられてハッとする。
「大丈夫か?疲れたなら風呂入って来いよ。」
優しくそう言われ、俺は首を振った。
「後にします。それよりも悠さん…抱き締めて良いですか?」
そう言って座っている悠さんの後ろに回り、背中から抱き締めた。
「まだ『良いよ』って言ってないんだけどな…。」
クスッと笑いながら前に回していた腕に手を添えてくれる。
洗い立ての髪に顔を寄せ息を吸い込む。「…良い匂い。」と呟くと、「ホントに犬みたいだな。」と笑われた。
女性のような華奢さも柔らかさもない身体。
だけど俺の腕に馴染み、ずっと抱き締めていたくなる温かい人。
…手放したくない。
「…悠さんに大事な話があるんです。」
祈るような気持ちで俺は口を開いた。
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