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包容と抱擁
side 蒼牙
悠さんの言葉に俺は目を見張った。
「違います!」
悠さんが餌?
違う!
俺は全力で否定すると、悠さんの腕を掴んだ。
「貴方の血が欲しくて側にいるんじゃない!俺は貴方と生きていきたいから側にいるんです!」
声が震える。
信じて欲しい、貴方が愛しい気持ちに偽りなどないことを。
「…俺が欲しいのは悠さんの血じゃない。貴方の心、貴方の全てだ。」
そこまで言って俺は腕を離した。
悠さんの顔が見れない。どんな表情をしているのか確認するのが怖い。
「…良かった。」
悠さんの呟きが聞こえる。同時にフワリと抱き締められていた。
「ゴメン。俺、今お前のこと試した。」
「…悠さん?」
「蒼牙が欲しいのは、俺の血なのか、俺自身なのか…お前の口から聞きたかったから。」
悠さんの胸に包み込むように抱き締められ、見上げるようにして悠さんを見つめる。
「あのな、蒼牙。俺はお前が何者でもいいんだ。吸血鬼だろうが、人間だろうが、犬だろうが、何だって良い。俺を必要としてくれて、側に居られるならそれで良い。」
そこまで言って言葉を切ると、悠さんは俺の顔を両手で包み微笑んだ。
「…滅多に言わないからよく聞いとけよ。」
綺麗に微笑む貴方から目が離せない。俺の額に軽く口付けると、目を合わせて囁いた。
「愛してるよ、蒼牙。…話してくれてありがとう。」
頬を冷たいものが伝う。それを隠すように、悠さんに抱き締められた。
暖かいその背中に腕を回す。
哀しいのではなく、嬉しいのでもない。
…愛しくても涙が出ることを、俺は初めて知った。
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