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5月19日 勘違い2

「ホント、ごめん。あれは呆れて返事をしなかったわけじゃない。…出来なかったんだ。」 ギュッと抱き締めたまま溜め息と共に告げる。 「…出来なかった?」 「そう。…カッコ悪いから、あんまり言いたくないけどね。」 そこまで言って悠さんから身体を離し、脱がせていた浴衣を肩まで戻す。 「…とりあえず目の毒だから、」 ちゃんと誤解を解かないと…。 「気持ち良かったんだよ、凄く。」 向い合わせに座り、正直に話す。 「…え、」 「悠が俺のためにあんなに乱れて、一生懸命奉仕してくれたんだよ?気持ち良いに決まってる。」 はっきりとそう言うと、悠さんは困惑した表情になる。 「じゃあそう言えよ。何も言わないから、」 「だから、言えなかったんだって。」 悠さんの言葉に被せるように続ける。 「あんまりにも悦くて、喋ったら変な声が出そうだった。」 悠さんが上になって中に挿入った俺を刺激する、その姿に視覚で。 直接感じる胎内の熱さや狭さ、蠢き、胸に置かれた手に感覚で。 耳に届く悠さんの吐息と喘ぎ、繋がった場所から響く卑猥な音に聴覚で。 悠さんの身体を巡る血、流れる汗、石鹸、アルコール…それらの香りに嗅覚で。 キスで交わした唾液、舐め上げた滑らかな皮膚、凝りを持った胸の尖り、それらを舌で感じた味覚で。 五感全てで貴方を感じ、口を開けば声を上げてしまいそうで。 余裕なんて全くなくて、返事すらできないくらい感じていた。 そのことを素直に悠さんに告げる。 「だから、返事が出来なかったんです。」 「な、お前…ッ…」 みるみる顔を赤くし、言葉を失う悠さんに俺は微笑みかけた。 「悠さんに呆れるわけないでしょ?…むしろ、あれだけ乱れてくれることを期待して飲ませたんですから。」 Barに入っていく貴方を見た時から俺の中で期待値が上がっていた。 「だから、貴方が恥ずかしがることは一つも無いんです。…むしろ、呆れられるのは俺でしょう?」 少し自嘲気味にそう言うと、悠さんは首を横に振った。 「「…良かった。」」 言葉が被る。 それが可笑しくて、二人で笑った。 安心したように微笑む貴方に、押さえ付けた欲が再燃していく。 「…悠さん、もう一度触れて良いですか?」 頬に手を伸ばしながら問うと、悠さんは目を瞑ってくれる。 「俺も、お前に触れたいよ。」 そう囁くその唇に、俺は荒々しく口付けたー。

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