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休日
時計を確認すると9時を回ったところだった。
シングルベッドに男二人、狭いはずなのによく眠れた。
腹減ったな…。
ベッドから身を起こし蒼牙に声を掛ける。
「せっかくの休みだし、何がしたい?」
今日の予定を何も決めていなかったが、特にやりたいことがあるわけでもない。
…蒼牙と過ごすことは決めていたが。
「ん~…。悠は何がしたい?」
「俺は特にないかな。蒼牙は?」
同じ質問を繰り返す。
蒼牙はニッと笑って身を起こすと俺の手を掴み持ち上げてきた。
「…俺は悠を抱きたい。」
そのまま手の平に口付け見つめてくる。
言われたことに一気に顔が赤くなる。
「からかうな!」
手を振り払い睨むと、蒼牙はクスクスと笑いながらまた寝転がった。
「からかってなんかないよ、本気。今すぐ抱きたい…けど、夜まで我慢するよ。」
そう言うと蒼牙は布団を肩まで被り「…この布団、悠の匂いがして凄く落ち着く。」と目を瞑る。
コイツ、まだ寝る気か。
「朝飯食べたら出掛けるぞ。…夜までは俺のしたいことに付き合え。」
言外に夜には好きにさせてやると濁しベッドから降りると、俺は洗面所に向かった。
簡単にトーストと卵を焼き、コーヒーを淹れる。コーヒーが落ちる間、何気なく首筋を撫でた。
さっき洗面所で顔を洗った時に確認した首筋。
キスマークとは言い難いほどに内出血をしていて、本当に血を吸われたのだと実感した。
強い独占欲のようにも感じられる印に、不覚にも胸が鳴った。
…蒼牙を安心させたいとか理由をつけて、本当は俺が安心したかったのかもしれない。
出来上がった朝食を運びながら、俺はそう感じていた。
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