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待ち時間
side 蒼牙
待っていた映画の上映時間が近くなり、俺達は映画館に入った。
今日は朝から色んな悠さんを見られて楽しいし、何より嬉しい。
『夜までは俺のしたいことに付き合え。』
そう言われたことを思い出しては学生みたいにソワソワしている俺。
逆を言えば、『夜になれば好きにして良い』ってことで。
今まで付き合ってきた彼女達ともそういうことをしてきたのに、それは全部セオリーのようなもので。俺から求めたことはなかったな…と改めて感じる。
だけど悠さんだけは違う。
昨夜触れたあの熱がずっと指先から離れない。今まで自分は淡白な方だと思っていたけど、どうやら違ったらしいことにあの人と出会ってから知った。
貴方はからかうなと怒っていたけど、何がしたいかを聞かれ『抱きたい』と答えたのは本心で、悠さんに触れたくて触れたくて仕方ない。
貴方が笑う度に抱き締めたくなる。
熱い口腔内を貪りたくなる。
一挙一動に心がざわめく。
…本当、セックス覚えたての学生じゃないんだから…
自分で自分を戒めながら、さっきからかったお詫びにと、悠さんを待たせて飲み物を買いに行く。
普段はコーヒーを飲むが映画の時だけはロイヤルミルクティーを飲むというあの人の為に、俺は長い行列に並んだ。
振り替えると椅子に座りこっちを見ている貴方と目が会う。
二ッと笑いながら手をあげる姿にまた心がざわついた。
…夜まで我慢できるかな…。
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