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内藤くんと蒼牙3
「俺はね、けっこう言葉にする方だけど。悠さんは男らしく態度で示す方なんだよね。」
「へー、俺は態度で示して貰うの嬉しいけどな。」
男らしくって、女に使うには失礼じゃないか?
そう思いながら言うと「俺もだよ。」と蒼牙は笑った。
「だから、たまに言葉にすると凄く照れるんだ。それがめっちゃ可愛いの。」
ニヘラって言葉がぴったりな笑いを見せ、蒼牙は続ける。
「可愛いから可愛いって言うと普段は怒るんだけどね。…なのにベッドの中で囁いたら嬉しそうにするのがまた可愛いんだよ。」
…デレてやがる。
初めてみる蒼牙の姿に、何故かこっちが恥ずかしくなってきた。
「そ、そうなんだ。」
「あと、酔うと色っぽさが倍増する。で、素面に戻ると毎回頭を抱えるんだよ。俺は嬉しいからいつでも酔って欲しいんだけどね。」
…完全にスイッチが入ってるな。
蒼牙の止まらないノロケに、やぶ蛇だったかと少し後悔する。
いやいや、これも彼女を通じて紹介に繋げるため。
羨ましい話も甘んじて聞こう。
…でも少しだけ軌道修正させてくれ。
「羨ましい彼女だな。仕事は?何してるの?」
職種を聞けば、その仕事関係でコンパでもお願いできるんじゃないかと期待して言う。
「会社勤めだよ。」
そうして続けて言われた社名は無知な俺でも知ってる会社だった。
「まじか!?え、何、バリバリのキャリアウーマンじゃん!年上で美人でキャリアって、何拍子だよ!」
驚きにそう言うと「何拍子って意味分かんないよ。」とケラケラと笑っていやがる。
「てことはさ、俺らよりも給料良いんじゃね?」
ふと感じた疑問に「かなり良いと思うよ。」と特に気にした様子もなく答える蒼牙。
「ま、同じ男として張り合う気持ちはあるけどね。悔しくはないかな。それだけの価値がある人だから。」
「…お前、出来た人間だな~。俺なら悔しいや。」
蒼牙の言葉にそう答えるも…ん?やっぱり何か引っかかるな…
…『同じ男として』って言ったよな。
さっきから感じる違和感に、目の前でジョッキを傾けるイケメンを見つめる。
いや、まさかな。
でも、一応。
一応確認しても失礼じゃない…よな?
「…なあ、蒼牙。」
「ん?」
「その人、『彼女』…だよな?」
おそるおそる口を開くと、蒼牙はニッと笑った。
「俺、『彼女』だなんて一言も言ってないけど?」
…。
………。
…………マジか!!!
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