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無自覚と警戒心6(※R18)
side 悠
蒼牙に手を引かれ入ったラブホテル。
別に初めてでもないのに緊張してしまう。
部屋に向かうエレベーターに乗り込んだと同時に、横から伸びてきた手に顎を掬われた。
そのまま覆い被さるように壁に縫い付けられ、深く口付けられる。
「ンッ…」
差し込まれた舌は激しく動き回り、その熱に翻弄される。
クチュ…
音をたてて唇が離れ、互いの口を糸が繋ぎプツリと切れる。
いつの間にかエレベーターは目的の階に到着していて扉が開いていた。
何も喋らないで蒼牙はまた手を引き、部屋まで歩いていく。
「蒼牙…?」
何となく不安になり声を掛けると、部屋の扉を閉めた蒼牙が急に俺を横抱きにし、すぐ側のバスルームへと運んだ。
「え、蒼牙…」
いつもと雰囲気が全く違う。
俺を下ろすなり、服を剥ぎ取っていく蒼牙に戸惑う。
「…悪いけど、今日は俺のしたいようにさせてもらうから。」
やっと口を開いた蒼牙がそう呟き、次に自分の衣服を脱いでいく。
言われた言葉に緊張が高まり、心臓がドキドキと煩い。
浴室に押し込められシャワーを回すと、まだ冷たい水が流れ身体に掛かった。
「冷たッ…ンン!」
上げた声は蒼牙の口に吸い込まれる。
頭から冷たい水を浴びながら、蒼牙は俺に口付けていく。
ピチャ…クチュクチュ、…クチ
「ハッ…ンッ…」
息継ぎもままならないほど深く、長い口付け。
水から湯に変わり蒸気が立ち込める中、蒼牙の深く蒼い瞳が俺を見つめてきた。
「…どこ?」
「え…?」
鼻が触れ合いそうな程の至近距離で囁かれる。
濡れた髪が蒼牙の顔に張り付いていて、それがひどく官能的だった。
「アイツが触れたとこ…どこ?」
同じように濡れた俺の髪をかき上げながら蒼牙が聞いてくる。
「…尻と太もも…」
思い出して眉根が寄る。
あの感触まで沸き上がり、不快感でムカムカする。
「他には?」
「肩と腰…それから…耳の裏を舐められた…」
正直に話すと、蒼牙の口から「チッ…!」と小さく舌打ちが聞こえた。
初めて聞く蒼牙の舌打ちに、何故か心臓が跳ねた。
…怒っている。
俺にじゃなくあの男にだと解っていても、不安になる気持ちは止められなくて。
「…ごめん」
無意識の内に謝っていた。
項垂れる俺に「悠は悪くないでしょ。」と蒼牙は笑う。
やっと聞こえた蒼牙の柔らかい声に、張り詰めていた緊張の糸が切れ泣きたくなる。
「でも、少し反省してもらおうかな。」
続いて告げられた言葉に「え…?」と顔を上げると、真剣な顔をした蒼牙と目が合った。
「悠は自覚が無さすぎ。他人から自分がどう見られているか、もっと考えて…。」
温かい湯が身体の上を流れる。
言われた言葉を理解する前に、蒼牙に後ろ向きにされた。
…キュッ
シャワーを止める音がしたかと思うと、すぐに背中に暖かい身体が触れてくる。
「…ンッ…」
項に熱い舌が這う。
チュッと時折吸い付きながら肩や首筋に蒼牙の唇が触れていき、大きな手が腰を掴み脇腹や背中を撫でる。
「ハッ…アッ、ンッ…」
少しずつ下がっていく唇に背筋がゾクゾクする。
蒼牙が後ろにしゃがみ俺の双丘に手を伸ばした。
「全部、消してあげる…」
そう囁くと尻に口付けを始めた。
チュッ…チュッ、ピチャ…
「あ、そ、蒼牙、そんなとこ…アッ!」
「ハッ…、足開いて。」
右手が内腿を掴むとグッと開かされた。
「え、あ、ヤッ…ッ…!」
下を見ると、股の間に後ろから手を差し込み、そのまま俺自身を柔らかく揉み込む景色が視界に入る。
唇はまだ尻に吸い付き、何度も音をたてては離され、柔らかく噛みついてくる。
「あ、アッ…ハッ、アンッ!」
グチュ、クチュ、クチュ…、
硬く反り返った自身を扱かれながら尻を愛撫され、足がガクガクと震える。
「ハッ…あ、も、ダメ…イくッ…あぁッ…!」
我慢できなくて熱を解放しようとした、その瞬間…
ギュッ…!
自身を強く握られ、熱を塞き止められた。
「あぁッ…!な、なんで…アンッ!」
自身を強く握られたまま、蒼牙の尻への愛撫は続いている。
恨めしい気持ちで後ろを振り向けば、顔を上げた蒼牙と目が合った。
「言っただろ、反省してもらうって。…今日は簡単にはイかせてやらないから、覚悟してて。」
意地悪くそう言って笑うと、蒼牙は俺の尻にまた口付けてきたー。
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