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無自覚と警戒心8

side 蒼牙 意識を失い腕の中で眠る悠さんの前髪をかき上げる。 醜い嫉妬を悠さんにぶつけ、少し意地の悪い抱き方をしてしまった。 時間を掛けて焦らし、俺を欲しがるように仕向けた。 そうすることで、この人は俺だけのものだと…その他の人達と俺は違うのだと、そう実感できる気がしたから。 なのに貴方はそれ以上のものを俺に与えてくれる。 『…お前の事だよ。』 何を考えているのか尋ねた時に答えてくれたセリフ。 どれだけ俺を喜ばしたか、悠さんはきっと解っていない。 本当はもっと焦らすつもりでいた。 だけど、あまりにも可愛く、そして淫らに誘ってくるから…箍が外れたように悠さんを求めた。 「…ン、」 頬を撫でていたことで、悠さんが少し身動ぎうっすらと目を開ける。 「…そ、が…?」 掠れた声で呼ばれ苦笑した。 声が掠れるほど啼かしたという事実に、反省どころか満足感の方が上回っている。 「まだ寝てて良いよ…。」 瞼に口付けながら囁くと「ん…」と胸に擦り寄ってきた。 よほど疲れていたのか、また寝息をたて始める悠さんを腕に抱き締め直す。 あれだけ脅したのだから、もうあの中年男は近寄らないだろう。 だけど…これから先も同じようなことがあるかもしれない。 正直に言うと、あまり他人に干渉して欲しくはない。 俺が惹き付けられたあの笑顔を、貴方の魅力を他人に見せないで…。 そんな幼稚な願いをもってしまうほどにこの人に囚われている。 『俺を全部あげるから、悠を全部ちょうだい』 セックスの最中に囁いた言葉は嘘偽りのない本音。 全部あげる。 貴方が望むのならこの命だってあげるから… だから貴方もその優しさを誰にもあげないで、俺だけにください…。 叶うはずのない願いだけど、心から願っている。 ベッドサイドに置いた腕時計を確認した。 今日はもうこのまま一晩を過ごそう。 明日も仕事があるからゆっくりはできないけど、今この人を起こすのはかわいそうだ。 何より今は離したくない。 腕に力を込め、口元にある柔らかくさらさらな頭に口付けた。 貴方を抱き締めると、驚くほど心が穏やかで優しい気持ちになれる。 「…愛してる」 小さく囁く。 腕の中の貴方が微笑んだような気がしたー。

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