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Dog or Wolf 5

side 悠 「…じゃあ、そろそろ戻りましょうか。立てますか?悠さん」 そう言って手を差し出してくる。 口調はもういつもの蒼牙に戻っていて俺は苦笑した。 その手を握ると洗面台から下ろされ「じゃあ、俺が先に戻りますね。」と笑った。 その笑顔にはさっきまでの妖艶さはなく、「また後で」と名残惜しそうにする様は耳がシュンと垂れているようにも見える。 ちくしょう、可愛いじゃないか。 頭を撫でたくなるのを我慢し、蒼牙が出ていくのを見送った。 何だったんだ、さっきのは… レストルームの中、一人洗面台に項垂れた。 鏡を見ると首筋にはくっきりとキスマークが残っていて、ここで濃厚なキスを繰り広げていた事を再認識させられた。 熱の籠った蒼い瞳に見つめられると抵抗なんて出来なくて、されるがままに受け入れたけど… …これ隠せないよな。 どうしたら良いんだ… 結局、良い案なんか思い付かず、晒したまま内藤くんが待つ席に戻った。 何か言いたそうな顔をした内藤くんが「悠さん…」と呟くのを手を前に出して制する。 「頼むから、口に出してくれるな…」 そう言って苦笑すると、内藤くんが溜め息を吐いた。 僅かに顔が赤く見えるのは多分気のせいなんかじゃない。 「…本当にアイツ可愛いですか?」 「はは…」 そう呆れたように溢す内藤くんに渇いた笑いを返した。 犬の時とスイッチが入った時と。 飼い犬と狼のごとく豹変する恋人に、俺はこれからも振り回されるのだろう。 でも… それが嫌ではないのだから、俺も重症だな。 そう考えながら残りの料理に手を付けた。 その後…食事の前に実は買い物にも内藤くんと行っていたことがばれ、その夜さんざん啼かされた。 …やっぱり狼モードの蒼牙は可愛くないかもしれない。 容赦無く身体に教え込まれ、ベッドの中で俺を抱き締めて眠る蒼牙を見つめながら思う。 明日は犬に戻っていますように…そう願いながら俺も再び目を閉じたー。

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