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桜と想い4

side 蒼牙 ベッドの中、眠っている悠さんの前髪を指で払い、顕れた額に吸い寄せられるようにそっと口付けた。 少し身動ぎ「ん、」と声を洩らしたが起きる様子はなく、むしろ擦り寄ってくるその姿に愛しさが込み上げてくる。 タクシーで帰ってきてから自分に言い聞かせながら靴を脱ぎ、乱暴にならないように悠さんを抱き締めた。 だけど、しなやかな腕が伸びてきて後ろ髪をほどき、綺麗に微笑まれると一気に箍がはずれてしまって。 抱きすくめたまま深く口付け、もどかしく感じなから衣服を剥ぎ取っていった。 熱を帯びた悠さんの身体を何度も抱き、洩れる喘ぎ声も飲み込むように唇を重ねた。  しがみつく腕、絡む足、快感に揺らぐ瞳、繰り返し名前を呼ぶ唇...全てに煽られて何度も揺さぶり貪った。 「...ん、そう、が...」 じっと見つめていたからか、悠さんが名前を呼び薄く瞳を開く。 「ごめん、起こしちゃったね。」 瞼に口付けながら囁くと、首に腕を巻き付けてくる。 首筋に当たる悠さんの吐息が心地好くて、抱き締めながら身体を仰向けにした。 身体の上に乗り上げた悠さんが、少し困ったように笑い肩口に頭を擦り寄せる。 「ずっと起きてたのか?」 小さな声で呟く悠さんにクスクスと笑い、「まあね。」と答える。 「もう酔いは覚めた?」 からかうようにそう言うと、目尻を赤くして悠さんが睨んでくる。 「...わかってて聞いてくるな。」 拗ねたように肩口にまた顔を埋めてくるその仕草があまりにも愛しくて、悠さんの顎を掬い上げ何度目かわからないキスを送った。 公園にいた時から本当は酔いも覚めていただろうに、酔ったふりをして俺に甘えてくる悠さんが凄く可愛くて。 『愛してるよ』と囁かれた時には、あの場で押し倒したい衝動に駆られた。 悠さんが気にするからと頭に被せた上着は、周りの目から遮断された空間を作りお互いの熱だけを感じることができ...そうしていつもより大胆に振る舞う恋人に笑みが洩れた。 桜の下で見る悠さんは本当に綺麗で、桜色に顔を染めながら微笑む姿にずっと目を奪われていた。 こんなに愛しく思える人が側にいて俺を求めてくれていることが幸せで、愛を囁いてくれるその唇をずっと塞いでいたい。 貴方といることが本当に幸せで、この人以上に大切に思える人はないと...そう本気で思っている。 「...ん、フッ、」 吐息と共に重ねた唇がうっすらと開かれ、誘われるままに舌を絡めた。 何度身体を重ねても、こうして触れてしまうとまた欲しくなる。 女性のような柔らかさはないのに覆い被さった身体は心地よく、腕の中にいつまでも閉じ込めていたい。 「...悠」 唇を離し目を見つめると同じように見つめ返してくれる。その瞳は濡れていて、身体が熱をもったのが俺だけではないと語っていた。 「もう一回...良い?」 背中から腰にかけてゆっくりと撫で下ろし、双丘をやわやわと揉む。 「...ッ、ん」と声を詰まらせる悠さんの耳朶を唇で挟み舌先で擽ると、クスクスと笑い声が聞こえた。 「せっかく綺麗にしたのにか?」 シャワーを浴びていたことを指摘され苦笑した。 勢いをつけ身体を反転させる。 「ダメ?...俺はまだ悠に触れたい。」 悠さんを組み敷きながら囁くと、首に腕を回して引き寄せられた。 「..いいよ。でも..」 そこまで言うと悠さんは言葉を止めてしまい、顔を背けてしまった。 「..でも?」 少し赤く染まった首筋に柔らかく噛みつき、牙をたてたい衝動と戦いながら言葉の続きを促した。 「...お前をちゃんと感じたいから...あまり激しくするな。」 「...!!、ッ、ああ、もう!」 心臓をわしづかみされる感覚ってこういうことだと思う。 俺は悠さんを強く抱き締めながら深く溜め息を吐いた。 「ほんと俺を煽るのが上手いな、貴方は」 一気に熱を帯びた下半身を悠さんに擦りつけながら呟くと、身体の下で悠さんが小さく息を飲むのが分かった。 俺は身体を起こして悠さんに馬乗りになると、着ていたシャツをもう一度脱ぎ捨てる。 「激しくはしない。でも、煽ったぶんは責任とってもらうから。」 微笑みながらそう言えば、悠さんは目を大きくさせた。 「え、待って、」と制止する声が聞こえたが、無視して悠さんのシャツにも手をかけ一気に脱がす。 誰が待てるものか。 いつだって貴方を抱きたい。貴方を独占したい。 貴方が求める以上に、俺は貴方を求めているのだから。 そう想いを込めて、悠さんの唇に噛みつくように口付ける。 ゆっくりと暖かい腕が背中に回されて胸が締め付けられた。 「..ん、愛してる。」 キスの合間に囁き、また深く口付けながら悠さんの身体に手を這わしていった。 「俺もだよ...」 熱い吐息と共に呟かれる悠さんの言葉に更に身体が昂っていく。 激しくしない...その約束が守れなかったらゴメン。 心の中で謝りながら、俺は愛しい人の身体に夢中になっていったー。

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