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V.t.
休日。
いつもならゆっくりと眠るが、今日は早くに目が覚めた。
隣には上半身裸の蒼牙がまだ眠っている。
昨夜は一緒にDVDを観て酒を飲んだ後、明日は休みだからと俺からベッドに誘った。
『ッ…あ、…ンッ、もっと、あぁッ…!!』
昨夜の自分の求めようを思い出し、赤面してしまう。
『…クッ、ここ?』
『あぁぁッ…ンッ!!』
『フッ、いい声…』
優しく、時に激しく、俺の悦いとこばかりを攻めてきた蒼牙。
求めれば求めただけ与えられ
俺もまた、求められるままに啼いた。
酒が入っていたとはいえ、あまりにも恥ずかしげもなく声を上げ乱れた自覚がある。
…恥ずかしい。
消え入りたい思いで布団から抜け出し衣服を身に付けた。
振り向くと、まだ蒼牙は熟睡していて起きる気配はない。
今日は昼から仕事だと言っていた。
まだ起こさなくて大丈夫だろう。
…起きたら朝食にするか。
それまではコーヒーでも飲んでいようと、俺は静かに部屋を出た。
「…おはようございます、悠さん。」
一時間後、起きてきた蒼牙がニュースを見ていた俺を後ろから抱き締めてきた。
まだ眠いのか、頭を肩に乗せたまま動こうとしないのに笑いが洩れる。
暫くはそのままテレビを見ていたが、いつまでもそうしているわけにもいかず。
「ほら、離せ。コーヒー淹れてやるから。」
身を捩りそう言うと「…う~…はい。」とようやく身体を離した。
その頭を軽く撫でると、俺はキッチンに向かおうと立ち上がる。
その時、仕事鞄が目に入りチョコのことを思い出した。
いったい、どのタイミングで渡せば良いんだ?
…頭を悩ませながら、俺はコーヒーを淹れたー。
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