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帰省 オマケ

side 悠 ホタルを見てから蒼牙と二人で手を繋いで帰った。 ずっと考えていた蒼牙との同棲をまさかここで伝える事になるとは思っていなかったが、あの時の蒼牙の真剣な様子に自然と切り出すことが出来た。 ···よかった。 準備しないといけないことはたくさんあるが、蒼牙との生活を考えるとそれも楽しみになってくる。 「はるくん、床の間に布団を敷いてあるからね。」 風呂上がりに蒼牙と祖父の3人で酒を飲みながらそんなことを考えていると、隣の客間から戻ってきた祖母がそう言って笑った。 「あぁ、わざわざありがとう。自分達で敷くのに····」 お礼を言いながら客間を覗く。 ······ ·········ちょっと待て! 慌てて側にいた祖母を引き留める。 「ばあちゃん!この敷き方、おかしいから!!」 「···どこがだい?夫婦なら当たり前だろ。」 俺が大きな声を出していると、それに気付いた蒼牙が「どうかしましたか?」と客間を覗いた。 「···やった、一緒に眠れますね。」 部屋を覗いた蒼牙が目を輝かせながら俺を見た。 「···ふざけんな。」 その顔を睨みつけ、もう一度部屋を見てため息を吐く。 8畳ある広い客間には、中央に布団が一組しか敷いていない。 おまけに枕は2つだ。 「いやいや、おかしいから、これ。とりあえず、もう一組出すからね。」 半笑いで祖母の肩を叩きながら客間に入ると、後ろから祖父の声が聞こえた。 「『夫婦』ってのは否定せんのじゃのぅ。」 「ッ!!」 笑いを含んだその声に、この敷き方を指示したのが祖父だと直感する。 「最高の奥さんですから。」 それに嬉しそうに答えるのも聞こえ、つかつかと蒼牙に歩み寄る。 バシッ‼ 「イタッ!!」 「お前も調子に乗るな!手伝え、バカが!」 「···はい、ごめんなさい。」 頭を叩かれた蒼牙はまるで尻尾と耳が垂れた犬のようにシュンとなっている。 ···クソッ、可愛いじゃないか 内心はそう思いつつ、布団を出しに押し入れに向かう。 「布団をくっつけるぐらいなら許してやるから。」 後ろからすごすごと着いてくる蒼牙にそう呟くと、「!!はい!」と元気な声が返ってきた。 ···今、尻尾を振ってるんだろうな···。 背後に感じる蒼牙の様子にクスッと笑いが溢れる。 祖父母がどこまで本気でやっているのかは分からないが、蒼牙と仲良くなってくれたことは素直に嬉しいと感じる。 蒼牙にホタルも見せてやれたし、ここに来て本当に良かったと思う。 ···だけど、これは笑えないから。 視界に入る布団に苦笑いしつつ、俺は押し入れを開いたー。

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