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内藤くんと蒼牙Part 2 2

蒼牙が話始めてからこっち、俺は自分のメンタルの強さを知った。 ただのノロケ···されど、それも過ぎれば立派な言葉の暴力だと思う。 「····つまり、法律上結婚は出来ないけど、気持ちでは結婚していると。で、同棲すると。」 俺がやっと絞り出した言葉に、蒼牙はニッコリと笑った。 ···いや、別にその報告はしてくれて良いんだよ。 むしろ応援しているこっちとしては、拍手して祝いたいくらいだよ。 だけどさ、『ホタル見ながらキスした』だの、『布団は二つ敷いたけど結局は一つの布団で抱き締めて寝た』だの···そんな報告までしてくれなくていいから! 思ったより精神的ダメージがでかくて、机にうなだれてしまう。 「どうしたの?酔った?」 向かいから手を伸ばし肩を揺らしてくる蒼牙をジトッと睨む。 誰のせいだ、誰の!! 「····違うよ。何でもないから気にするな。それで?」 俺のメンタルの強さを誰か褒めてくれ。 半泣き状態で話の続きを促すと、蒼牙は呼び出しボタンを押しながら口を開いた。 「うん、もう一緒に暮らす部屋は見つけたんだ。契約はまだ途中だけどね。」 そう言って蒼牙はすぐに現れた女の子に追加のチューハイを頼んだ。 さっきから注文を取りにやってくる店員さんがコロコロと変わるのが気になっている。 しかも用もないのに頻繁に覗いては、「何かありましたらボタンを押して下さいね」と顔を赤らめて戻っていく。 明らかに蒼牙目当てなことは分かるが··· コイツ、今絶賛ノロケ中ですから!! 「内藤くんにお願いっていうのはね、引っ越しのことなんだけど。」 注文を取った女の子とは違う娘からチューハイを受け取りながら、蒼牙は続けた。 「手伝いならしてやるけど?」 「え、いいの?」 俺が先にそう言うと、蒼牙は少し驚いたような顔で俺を見た。 「いいよ、手伝いくらい。悠さんの荷物もあるし、業者だけだと大変だろ?」 このクソ暑い時季に引っ越しなんて大変だと思うが、蒼牙と悠さんの為だし···この二人を応援しているのは本当だから。 俺がそう続けると、蒼牙は「ありがとう、助かるよ。」と笑った。 ···こういうところは素直なんだよな。 さっきからずっと見せていたノロケとは違う感謝を伝える笑顔に、俺も「どういたしまして。」と笑った。 それにしても、同棲か···。 まさかそんな話になっているとは思わなくてびっくりしたけど、蒼牙が機嫌が良い理由が分かって納得した。 「遅くなったけど、良かったな、蒼牙。」 まだ祝いの言葉を言っていなかったことに気がつき、本当に幸せそうな顔で話す蒼牙にそう伝えた。 盛大にノロケられて心の中ではいろいろと突っ込んでいたが、本当に良かったと思う。 何だかんだ言ったって、俺はコイツが好きなのだ。 「うん、ありがとう。」 飲んでいたチューハイをテーブルに置き、蒼牙は男の俺でもドキドキするような微笑みを浮かべた。 ···うっわぁ、美形の微笑み半端ねぇ。 向かいで笑う蒼牙を見ていると何となく恥ずかしくなってしまい、俺は照れ隠しに呼び出しボタンを押し料理の追加を頼むことにしたー。

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