205 / 347

出張5(※)

side 悠 昨夜は久しぶりに蒼牙と一緒にベッドに入り、驚くほどぐっすりと眠れた。 出張の疲れなんか全て癒され、目が覚めるといつものように朝食の準備をして蒼牙が起きてくるのを待っている。 リビングのソファに目を向け、そこにあるタオルケットにフッと笑ってしまう。 俺が居なかった間、蒼牙がソファで眠っていたことを知り嬉しくなった。 一緒に居るのが当たり前になっていて、離れていると落ち着いて眠れないのは俺だけではなかったのかもしれない。 「おはようございます、悠さん···」 ダイニングテーブルに腰掛けていると、背後からフワリと抱き締められる。 まだ覚醒しきっていないのか寝ぼけたような声の蒼牙にクスクスと笑い、回された腕をポンポンと叩いた。 「おはよう。顔洗ってこいよ。朝食できてるから。」 「う~···はい。」 フラフラと洗面所に向かうのを見送り俺もキッチンへと入る。 朝食を食べたら今日はゆっくりと過ごそう。 観たい映画 もあるし、買い出しをしてDVD を借りてくるのも良い。 テーブルに朝食を並べながら、今日の予定を組み立てる。 子供のようにワクワクしている自分に少しだけ呆れつつ、蒼牙が戻ってくるのを待ったー。 「ごちそうさまでした。凄く美味しかったです。」 本当に嬉しそうにそう言う蒼牙に、クスッと笑いが溢れる。 「別にそんなに立派な朝食ではなかったがな。」 今日は味噌汁とご飯、甘めの卵焼きとサラダという簡単な朝食だった。 味噌汁も市販の出汁だったし、サラダも普通のドレッシングだ。 それでも美味しいと言ってくれる蒼牙が可愛くて、「ありがとうな。」と続けた。 「俺にとっては貴方と一緒に食べられるだけでも最高の朝食ですから。もちろん、味も美味しかったですし。」 「···そ、そうか。」 さらりとそんなことを言う蒼牙に照れてしまう。 「作ってもらったし、片付けはしますね。」と席を立つのを見つめながら、腹の底がムズムズするのを感じた。 すらりと高い身長、長い手足、広い肩に掛かる髪、大きな手、優しく微笑むその表情··· 出張に行っている間も声は聞いていたが、こうして姿を見ることはできなくて。 昨夜も睡眠不足と疲れで蒼牙をゆっくりと感じることはなかった。 ····触れたい 素直にそう思う。 手で、口で···身体中で蒼牙を感じたい。 台所で食器を洗うその姿すら愛しく思える。 「····蒼牙。」 椅子から立ち上がり、キッチンに立つ蒼牙に近づいた。 「何ですか···ッ、」 顔をあげた蒼牙の唇を奪う。 瞳は開け様子を伺うと、驚いたように軽く目を見開いていて。 「なぁ···ベッド行こう···?」 「····ッ!」 唇が触れそうな距離で囁くと、その瞳はさらに大きく開かれた。 その様子に笑いながら、もう一度···今度は深く唇を重ねた。 「ンッ···フ、蒼牙··」 「ハッ···悠さん···」 クチュ、チュッ···と響く水音と、絡まる熱い舌。 水に濡れた手が腰に回され、スルリと服の裾から差し込まれた。 背筋を優しくなぞるその手の動きに、全身が粟立っていく。 「どうしたんですか?急に···。これからDVD観るって言ってたのに···」 額を合わせ目を見つめながら囁く蒼牙に、挑発するように微笑んで見せた。 「そっちのほうが良かったか?俺はそれよりもお前に触れたくなったんだが···」 5日間···お互いを感じることができなくて、睡眠さえ思うようにならなかった。 俺が触れたいと思うように、蒼牙にも俺を求めて欲しい。 「まさか。俺が貴方を拒むわけないでしょう···?昨日、どれだけ我慢したと思ってんですか。」 「うわっ!」 そう言って急に抱き上げられ、思わず蒼牙の肩にしがみつく。 「···愛してます。貴方がいなかった間の寂しさを、埋めさせてください···」 甘えるように囁かれ、胸がギュッと苦しくなる。 「俺も··」 自分の気持ちを言葉にするのは恥ずかしくて苦手だ。 だけど、今日は··· 「··俺も···愛してるよ」 「····ッ!はい。」 寝室へと歩いていく蒼牙の身体に掴まり小さな声で囁く。 今日は恥ずかしがらないから。 蒼牙がいつも言葉で伝えてくれるように、今日は俺も伝えたい···そう強く思ったー。 「ンァ、そ、が··ダメだ、そんなにしたら、ッ!」 ベッドの上で蒼牙が俺のものに口で愛撫をする。 すでに衣服は剥ぎ取られ、明るい室内で蒼牙に全てをさらけ出している。 羞恥心や戸惑いなんかはすでに消され、早く蒼牙を感じたい、一緒に気持ちよくなりたい···そんな思いに支配されていた。 与えられる愛撫は泣きたくなるほど優しくて、時折「悠···」と囁くその声にさえ感じてしまう。 一番感じる先端部分を指で刺激され、他のところは下から舐め上げたり吸い付いたりしてくる。 大きな手が脇腹や胸元をまさぐり、胸の尖りを指で挟んだり強く押し潰したりしては、柔らかく指先で撫でてくる。 「ファ、ンッ···ンンッ!」 身体をベッドの上でくねらせ快感から逃れようとするが、腰を掴んでそれを止められてしまう。 「ハッ···逃げたらダメ。今日は全部受け止めて···俺を満たして···」 顔を上げた蒼牙が、懇願するように言う。 そうしてまたゆっくりと俺自身に舌を這わせ、そのまま先端を口にくわえていった。 「ッ、あぁッ!」 クチュ、チュッ··チュッチュパ··· 舌で強くグリグリと挫かれ、喉の奥まで迎え入れられる。 上下に揺れ動く頭を力の入らない手で掴んだ。 浮かぶ腰を押さえつけられ、全ての感覚がそこに集中していく。 「ん、ハァ、··イッて、悠···」 「や、ああぁ、ンッ!!」 何度も刺激され限界に達していた俺は、そのあまりにも甘い愛撫に我慢できなくて。 「····ん、ハァ、ごちそうさま··。」 ゴク、ゴク···と喉を鳴らして俺の欲を飲み込むと満足そうにそう言って口を拭う。 顔の輪郭をなぞるように撫でられれば、無意識のうちにその手に頬を擦り寄せていた。 身体中が敏感になっていて、蒼牙が触れる場所全てが気持ちいい。 すでに快感を覚えている後孔が、自分でも分かるくらいヒクついている。 「ハッ··、俺もしたい··。」 力の抜けた身体を起こし、蒼牙を押し倒そうと肩を掴んだ。 でも、そのまま後ろに倒そうとするが、蒼牙は動いてくれなくて。 「な、んで··」 恨みがましく見つめると、蒼牙は困ったように笑った。 「今日、悠にそんなことされたら俺ヤバイよ?冗談抜きで歯止めが効かないと思うから···」 「だから俺はいいよ。」と続ける蒼牙に、俺は微笑んで見せた。 「···それでもいい、俺が触れたい。お前に気持ちよくなってほしい···。」 「···悠」 首に手を回し抱きつく。 嬉しそうな声を聞くと、もっと喜ばしたくなる。 「蒼牙···」 「ん?」 「····愛してる。」 そっと耳元に囁いた。 ついでにチュッとキスを落とすと、蒼牙が息を飲むのが分かった。 「········ほんと、貴方には敵わない···」 腰に腕が回され、強く抱き締められる。 フゥ···とため息を吐くその様子にクスッと笑い口付けていった。 「ンッ···蒼牙··」 ゆっくりと体重をかけ、押し倒していく。 今度は蒼牙も抵抗することはなかったー。

ともだちにシェアしよう!