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熱帯夜3(※激甘警報発令)

ベッドに悠さんの身体を降ろす。 見下ろした表情は色っぽくて、すぐにでも暴いてしまいたくなる。 ···ほんと余裕なんてない。 自分の浅ましさに呆れながらも、それを受け入れてくれる悠さんの優しさに甘えてしまう。 ワイシャツの袖を引っ張り脱がせながら、自分が付けたキスマークに目を奪われた。 「···もっと付けても良い?」 指先でソッと触れながら囁くと、「見えないとこならな。」と笑って許してくれる。 「その前にお前も脱げ···」 唇を落とそうとすると肩をグッと押され服の裾を捲られた。 一度欲を放って少し余裕ができたのか、悠さんの声はいつものよく通る声で。 少し悔しい気もする一方で、この声が俺を求めて切なく震えるかと思うと背筋がざわつく。 悠さんの身体に馬乗りになったままバサリと服を脱ぎ捨て、ソッと頬を撫でた。 「今更だけど···ちょっと緊張してる。」 「は?何言って···ンッ、」 さんざん奪って赤くなった唇に、またキスを落とす。 こうして身体を重ねるのはもう何回目だろう。 数えきれないほどなのに、毎回緊張してしまって。 抱く度に愛しくなる。 今だって、玄関で積極的に悠さんから愛されて···まるで初めての時のように心臓がドクドクと煩い。 「チュ···ほら、分かる?」 「·······」 首に回されていた手をとり、自分の心臓に導いた。 脈打つそこを確認すると悠さんは綺麗に笑った。 「ほんとだ、速い···なぁ、蒼牙。」 「なに?」 俺の胸に手を押し付けたまま悠さんの表情が意味深なものに変わる。 「お前が欲しい。」 「!!」 言われた言葉にドクン!と心臓が跳ねた。 自分の鼓動が聞こえ、身体が一気に火照っていく。 そんな俺とは対照的に悠さんはひどく楽しそうで。 「あ、もっと速くなった。」 からかうようにクスクスと笑いながらそんなことを言う貴方が愛しくて···だけど悔しくて。 その余裕を崩したくなったー。 チュッ、チュ···と薄暗い室内に音を響かせる。 悠さんの両手を頭上で縫い付け、その身体に幾つもキスマークを刻んでいく。 胸元から脇腹へと下りていき、またゆっくりと上ると白くて柔らかい腕の内側にまで痕を残していった。 「ハッ···も、なんで··」 「ん、だって悠が悪い。あんな風に俺をからかって可愛く煽るから···」 「んあぁッ!」 その間も、拘束している手とは反対の手で、悠さん自身を何度も撫でていった。 一度達して敏感になっていたそこはすぐに反応を示し、熱く脈打ちながら震えていて。 もう少しで達する···というタイミングで動きを止め、熱が引き始めるとまた愛撫を施す。 何回か同じことを繰り返すうちに、悠さんの瞳に涙が浮かんでいった。 「お、まえ、性格わる··んアッ!」 胸の尖りに強めに吸い付き舌先で転がすと、悪態を吐いていた口から甘い喘ぎ声が洩れた。 同時に悠さんの足を割り開き、自分の身体を滑り込ませる。 「ん、でも俺も限界···後ろ解すから。」 「え、ンアッあ、ッ、」 悠さんの先走りで十分に濡れていた指を後孔にあてがう。 そこはもう濡れていて、円を描くようになぞれば誘うようにヒクついていた。 「あ、や···はな、せ··」 身を捩りながら濡れた瞳で俺を見つめてくる。 泣きそうなその表情に、心の中の黒い欲望が満たされていくようだ。 「ゴメンね。痛い···?」 ゆっくりと手を離し赤くなった手首にキスを落とすと、その手がきゅっと首に回された。 「痛くはない、けど、」 そのまま引き寄せられ身体が密着した。 温かい身体は汗ばんでいて、互いの熱を共有するように抱き締められる。 「あのままだと、お前を抱き締められないから···」 「····ッ!!」 耳元で囁かれたセリフに言葉を失った。 この人は···どこまで俺を甘やかすつもりなのか。 そして、どれだけ俺を虜にするつもりなのだろう。 「だから煽るなって··!」 「うぁっ!あ、ンッ、··」 宛がっていた指を一気に差し込む。 キツくて熱い中をぐるりとかき混ぜ、喘ぐ口を唇で塞いだ。 「ん、フッ··ンン···!」 中をかき混ぜ抜き差しを繰り返す。 グチグチ···と濡れた音を響かせ馴染んできたところで指を増やす。 「···苦しい?」 前髪をかきあげ、さらさらの髪の毛を撫でながら額に口づける。 しっとりと汗ばんだ額にキスを繰り返していると、クスッと笑う声が聞こえた。 「大丈夫だから···早く、蒼牙を感じたい···」 そう言って互いの身体の間に手を差し込むと俺自身にソッと触れる。 悠さんを焦らしている間、それと同様に俺も焦れていて。 硬く反り返ったそこを撫でられて「ンッ、」と息を詰めた。 「お前こそ、こんななくせに···これ以上、焦らすな」 悠さんから口付けられ、すらりとした足を絡められる。 僅かに腰を浮かせるその様に頭の中で僅かに残っていた理性が切れる音が聞こえたー。 グチャクチャ··グチュッ、グチ、グチュッ··· 「ンアッ、アッ!はっ、そ、が···!」 正常位で悠さんの顔を見ながら達したあと、ベッドにひっくり返し、腰を掴んで浮かせた。 『ちょ、まてっ、ンアッ!』と制止してくる声を無視して、猛った自身を何度も抜き差しして。 奥深くまで打ち付けては小刻みに揺らし、また抜ける寸前まで引き抜く。 肘をつき肩越しに振り返るその表情があまりにも扇情的で、背中に覆い被さって唇を奪った。 「あ、ンッ··ふ、ぁあアッ!」 そのまま激しく突き上げれば、背中を仰け反らせて悠さんが大きく喘いだ。 「ッ!クッ···悠!」 キツく締め付けられ抗うことなく欲を放つ。 熱く滑った中が何度も収縮し、搾り取られるような感覚に目眩がした。 「悠···」 ドサリとベッドに倒れこんだ身体を抱き締める。 「こ、の···絶倫が···」 ハァハァと荒い息を繰り返しながら、悠さんが憎まれ口を叩く。 その様子にクスッと笑い抱き締めていた手を前に伸ばした。 「そんなこと言うけど、悠も濡れてるよ···?」 「ッ、さわ、んな···」 悠さんのそこもしとどに濡れていて達しているのが分かる。 背後から抱き締めたままユルユルと撫でると、声を詰まらせる姿が可愛くて。 まだ抜いていない自身が反応してしまわないうちに腰を引いた。 「ンアッ···」 その刺激にも小さく喘ぎ、悠さんが咄嗟に口を塞いだ。 撫でていた手も離し、悠さんの横にごろりと仰向けに転がった。 「まぁね、まだ俺は悠に触れたいけど···我慢するよ。まだ明日もあることだし?」 「···え、」 明日は二人とも休みが重なっている。 朝から一日中一緒にいられるのだ。 『明日も抱くよ』と意を込めて見つめれば、ボフッと枕に顔を埋めてしまった。 その耳が赤く染まっていることが可笑しくて、腕を伸ばしてその身体を抱き寄せた。 「··········」 何も言わずに当たり前のように腕の中に収まってくれる。 甘い香りを胸に吸い込みながら、その髪に鼻を埋めた。 俺よりも歳上でしっかりしていて、何でも自分で解決することができる。 芯が強くて、時々頑固で。 人を甘やかすことは得意なくせに、自分は甘え下手で。 大人で余裕があるように見せて、実はムキになりやすくて子供っぽいとこもある。 俺のことを『かわいいヤツ』って言うくせに、俺に『可愛い』と言われると顔を真っ赤にして。 大胆に誘ってきたかと思えば、『愛してる』と囁くだけで照れて。 俺はこの人が何よりも大切で愛しくて、失うことがないようにいつも必死だ。 側にいたい、いて欲しい。 そして····守りたい。 「···悠」 無意識のうちに名前を呼んでいた。 無言で見上げてくる瞳と視線が重なってフワリと微笑んで見せた。 そうして身体を起こすと、悠さんも起き上がって俺を見つめてくれて。 「···なんだ?」 「笑わないで聞いてくれる?」 問いかけに俺も問いかけで返すと、コクリと頷いてくれるから。 俺はゆっくりと口を開いたー。

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