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電話の向こう4(※)

side 蒼牙 本当は悠さんだけを気持ち良くさせるつもりだった。だけど、甘い喘ぎ声と乱れている姿を想像していたら堪らなくなって···気付けばズボン越しに自身を撫でていて、自分の欲深さに苦笑した。 悠さんを煽っていたはずなのに、いつの間にか自分のほうが煽られていて。 我慢出来なくなって下着から取り出したときには、そこは大きく形を変え主張していたー。 電話越しにハァハァと荒い息遣いが伝わってくる。 息を整えようとしているのか『ん···』と小さく洩らす声が堪らなく色っぽい。 「上手にイけたね···けど、もっと気持ち良くなろう?···俺も悠と一緒に気持ち良くなりたい···」 『あ····蒼牙··ンッ、』 そう言いながら、握っていた自身に再度刺激を送り始めた。 自分でしておきながら、ヒクッと腰が揺らめくのがなんとも可笑しい。 「ンッ···ほら、もっと後ろ··指で触れるね」 『あ、やだ···やめ···』 俺の囁きに小さく抵抗を見せる悠さんに愛しさが込み上げてくる。 自分で触れたことがない場所に誘導されるのだ。 抵抗するのは当たり前だ。 「大丈夫···怖くないから。ね···お願い、悠···」 自分でも驚くほど甘ったるい声で囁けば、『ん···ハッ、あ····!』と躊躇いながらも指を伸ばしているのが伝わってきた。 「ッ!く··ッ、」 ヤバい、もう···これだけでイけそう。 悠さんの今の姿を想像しただけで自身がビクッと震えた。このままだと欲を吐き出してしまいそうで、押し寄せてきた波をやり過ごす為に扱いていた手を止めた。 『あ···そ、が···?』 押し黙ってしまった俺に、少し不安そうな声で悠さんが名前を呼ぶ。 「危なかった···ちょっと、イくかと思った···」 素直にそう言えば、悠さんがクスッと笑うのが分かった。 『イけよ···俺ばっかは嫌だ···』 「···そうだね、もう···悠に入れたい···」 『···ッ、バカ···あッ!』 叶わないと分かっていてもそんなことを言ってしまう。照れた貴方の憎まれ口が愛しくて仕方ない。 喘ぐ口をキスで塞ぎたい··· しなやかな身体を抱き締めたい··· 汗ばむその腕を背中に回させ、思う存分に突き上げたい··· 強い欲求は留まることを知らなくて、ドクドクと脈打つ自身は痛いほど悠さんを欲している。 「それじゃあ···解すね」 『ヤッ、あ···ンッ!いやだ、こんなとこ···!』 「大丈夫···そこ、俺が撫でてあげるから··ンッ、··ほら、もう濡れてる···」 『クッ···ふぁっ···ん··』 狡いと分かっていても、耳が弱い悠さんを言葉で追い詰めていく。 いつも俺がするように···後孔をユルユルと撫でさせた。 目を瞑って、悠さんが乱れている姿を想像した。 後ろを解すときには、いつも腰を捩って軽く抵抗する。 それを押さえ込み···十分に柔らかくなるまで指でかき回し、舌で濡らす··· 逃げようとしているのか、それともねだっているのか···髪を引っ張る手が頭を押さえつけてくる。 すご···エロすぎるだろ··· 知らずと喉が鳴るのが分かった。 「ね···そうすると、俺のこと欲しがってヒクついてるのが分かるだろ···ッ···可愛い···」 『あ、あ···うそ、ンア···』 高い喘ぎに、悠さんが戸惑いながらも感じていることが分かり胸が締め付けられる。 可愛い··· もう、ほんと堪らない 自身を愛撫する手が速くなる。 ヌチャヌチャと水音を響かせ、溢れる先走りを指で拭い取る。 それをまた自身に塗り広げれば、擦る手の動きがさらにスムーズになっていく。 「ハッ、···もう柔らかくなった···指、入れるから···」 『あ、やだ、イヤだ···』 「悠の中···熱くて、キツくて···俺の指をキュウキュウ締め付ける···早く感じたい··」 尚も抵抗する悠さんを宥めるように囁く。 これで、きっと落ちる····そう思った。 『ッ、イヤだ··って言ってるのに····この、バカ!』 「悠···?」 想像以上に抵抗する悠さんの名前を呼ぶ。 『··その···ここは、お前だけが知ってればいい···自分でだって···イヤ、だ···』 「え···」 『だから、その···中がどうなってるかなんて···蒼牙だけが知っていれば······それが、いい···』 「ッ!!!」 どんどん小さくなっていく悠さんの言葉に俺の顔と身体は一気に熱くなっていく。 今、何て···『蒼牙だけが知っていればいい』···? 言われた言葉を認識した途端··· 「あっ、ヤバッ····クッ!」 『蒼牙···?』 信じられない··· 駆け上がっていった強い射精感に抗うことも出来ず···俺は欲を解放してしまった。 手のひらに感じる濡れた感触。 一気に走り抜けた快感に呆然とした後、笑いが込み上げた。 「···クッ、アハハハハ···!」 『蒼牙?何、どうした··』 「ご、ごめん···フッ、アハハ!」 突然笑いだした俺に戸惑った悠さんが、困惑した声で聞いてくる。 言葉で責めて、悠さんの乱れた姿を想像しながらイくつもりが。 まさか反対に言葉で追い込まれるとは思わなかった。 「ごめ、イッちゃった···アハハハハ!」 『え、はぁ!?』 さっきまでのあの甘くて淫らな空気は何処にいったのか、俺の笑い声と悠さんの動揺したような声が交ざる。 一頻り笑い、乱れた衣服を整えていった。 『もう···だいたい電話で変なこと始めるお前が悪い!俺は風呂に行って寝るからな。』 「だからごめんって。でも、気持ち良かっただろ?」 『ッ、知るか!』 クスクスと笑えば怒られたけど。 お互いに熱を吐き出したからか、戻ってきた理性がいつもの空気を作り出す。 この人は、さっきどれだけ凄いことを言ったのか自覚していない。 『俺だけが知っていればいい』なんて··· それが俺の独占欲をどんなに満たす言葉か、理解できないのだろうな。 「やっぱり、悠には敵わないな。」 『なんだよ、それ···』 ボソッと呟いた言葉にどこか不貞腐れたような声で悠さんが返してくる。 「気にしないで。それよりもさ、悠···」 『ん?』 「·····愛してる」 『·······ッ!』 ゆっくりと愛の言葉を囁く。 途端に息を飲むのが伝わってきてクスッと笑いが溢れた。 あの淫らな電話の最中には伝えられなかった想い。 貴方のことが誰よりも愛しいのだと···何度だって伝えたいから。 「愛してる···心から。」 『···知ってるよ。』 フッと笑う声が優しくて···ここで『俺も愛してるよ』と返さないところが悠さんらしくて。 だから愛しい気持ちに混ざって、少しだけ意地悪をしたくなってしまう。 「だから····帰ってきたら、貴方の中でイかせて。」 『なっ!』 熱っぽく囁けば言葉を失う。 予想通りの反応に満足しながら「じゃあ、そろそろ切るね。」と続けた。 これ以上電話をしていたら、また身体が熱くなりそうだ。 「···おやすみ、悠」 『···おやすみ』 挨拶をして電話を切ろうとすると『蒼牙』と呼び止められた。 「なに?」 『·······』 躊躇った様子が伝わってくる。 続く沈黙に「悠?」と促せば、大きく息を吐くのが分かった。 『·······帰ったらサービスしてやるよ。じゃあな!』 「えっ!ちょ、待って、」 信じられないような言葉を告げて、さっさと電話を切ってしまう。 ······え? サービス? 悠さんが、俺に!? 瞬きを繰り返し、通話の切れたスマホを見つめた。 「やっぱり敵わないな···」 呟きながらソファに寝転び、側にあった毛布にくるまった。 明日帰ってきたら何してもらおうかな··· 言ったからには絶対に逃さないから。 今頃後悔と恥ずかしさで唸っているだろう悠さんを思い、俺は緩む口許と赤らむ顔をクッションで隠したー。

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