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不自由さを理由に5(※)
「悠さん?あの···」
ギュッ···と抱き締められ、嬉しいけれども戸惑ってしまう。
服を着たままの悠さんの身体を抱き締め返しても良いものか···それ以前に『触るな』と言われているのに。
「濡れますから···」
少しだけ背中を撫で離れるように促した。
すると「別に良い···」と耳元で囁かれ、そのどこか上擦った声に身体がカッと熱くなった。
「どうしたんですか?急に···んッ」
顔を見ようと僅かに身体を離すと、悠さんの方から口付けてきた。
チュッ、ちゅく···クチュ···
「フッ···蒼牙···ッ···」
「悠さん···ン、···」
俺に覆い被さるようにしてキスをしてくる悠さんに俺からも舌を絡める。
痺れるような甘い快感が舌先から広がり、抱き着いてくるその細い腰に腕を回した。
チュッ···
やがて離れた唇は互いを結ぶように銀糸が繋ぎプツリと切れる。
「···どうしたんですか?触るなって言ってたのに。」
膝立ちになり俺を見下ろす形で見つめていた悠さんの手が顔の輪郭をなぞる。
「『触るな』とは言ったが、『触らない』とは言ってない···」
そう言ってまた口付けてくるその様子は完璧にスイッチが入っている時のもので。
一体何が悠さんの欲に火を点したのか分からないけど···俺にとってこれほど嬉しい状況はない。
クチュ、チュッ···と繰り返される深いキスに気を良くして、悠さんの服の裾から手を差し込んでいく。
ところが背筋を辿ろうとしたその手を後ろ手に掴み止められた。
「今日は···俺がする。お前は触るな···」
「まだ言いますか···良いですよ。でも··」
吐息混じりに囁く悠さんに苦笑しながらも、その壮絶に色っぽい表情にゾクゾクする。
「でも··?」
「でも、キスはさせて下さい···」
「ン!ハッ···ンゥ··!」
そう言って噛みつくように口付けると熱い口控内を舌で貪る。
吐息さえ飲み込むように深く絡ませ、逃げないように後頭部を押さえつけた。
チュッ···と音を響かせ唇を離すと、ハァ··ハァと息を継ぐ悠さんと視線が絡まる。
そのままゆっくりと首筋に唇を滑らせ、しっとりと濡れた素肌を吸い上げた。
「まて、まだ泡流してない···ッ、」
「クスッ···俺はキスしてるだけです。悠さんがしてくれるんでしょう···?」
「くそ、ン···」
ザー···
温かいお湯が背中を流れる。
視線を寄越せば快感に堪えながらシャワーを握っていて。
自分の身体も濡れていくのも厭わずに、震える手で洗おうとしてくれるその姿に視覚で煽られた。
「····ごめんなさい、やっぱり我慢できません。」
「え、ンアッ!」
悠さんの手からシャワーを取り上げ湯を止めると、腰を抱いていた腕に力を込め強く抱き寄せた。
耳朶を食み、首筋にキスを落としながら少しずつ下に唇をずらしていけば腕の中で抵抗するように身体を捩る。
濡れた服が身体に張り付いているのが扇情的で····その服の上から胸元へと吸い付いた。
チュッ、ヂュ···チュ····
「あ、やめ···ン!」
探り当てた胸の尖りを服の上からキュッと甘噛みすると、途端に甘い声が上がる。
そのまま舌で押し潰すように転がし強く吸い上げていく。
「あ···ッ···フッ····!」
いつもより響く自分の声が恥ずかしいのか、手で口を押さえ声を殺そうとする姿に余計に煽られ···執拗にそこを刺激していった。
「可愛い···悠さん··ン、」
反対側の乳首にも同じように吸い付けば、頭を優しく撫でられた。
「ハ、ァ··そう、が····待てって··俺が、さきに···」
そこまで言って悠さんは俺の頭を抱き込むと、耳元に熱く囁いた。
「俺が···さきにしてやる···」
クチュ、グチュ···チュッ···
浴室内に響く淫らな音。
浴槽に腰かけた俺の脚の間では悠さんの頭が揺れ動いていて。
時折「ん···」と洩れる声と熱い吐息が堪らない。
···何なのこの人、
これで『エロい』って自覚が無いんだから···ほんと勘弁して欲しい。
「ハッ···蒼牙、気持ち良いか···?」
顔を一度上げ、上目遣いで聞いてくるその表情は犯罪レベルだ。
今にも弾けそうな自身に腹筋に力を入れることで耐えるとソッと悠さんの頭を撫でた。
「ん、すごくいいよ···もうイキそうなくらい。」
そう言って微笑めば、嬉しそうに笑いまた顔を埋めていく。
自身に絡み付く熱い舌の感触と、歯を当てないように口控内に迎え入れては吸い上げてくる唇。
あまりにも悦すぎて腰を振ってしまいそうになるのを我慢する。
「···クッ!悠、もう離して···ッ」
「·········」
濡れて艷めく黒い髪を撫でながらそう伝えると、悠さんは身体を起こして俺を見つめてきた。
「·····蒼牙」
「ハァ、···何?」
右手を伸ばして頬を包み、形のよい耳朶を指で挟むとその手に手を重ねてくる。
そうして瞳を閉じて頬を擦り寄せる···その甘えたような仕草にドキッとしていると、悠さんはゆっくりと言葉を続けた。
「お前のイキ顔···見てみたい。」
「··········え、」
何て言った···今。
「俺、ちゃんと見たことない···だから、見てみたい。」
チュッ···と俺の手の平にキスを落としながら言ってくるのはとんでもないことで。
「いや、ちょっと待って···」
「ダメか···?」
「·······ッ!」
首を傾げながらお願いするのは卑怯だと思う···!
俺が何も言わないでいることを肯定ととったのか、悠さんはフワリと笑うとまた俺自身に口を寄せてきた。
「んッ···フッ、···」
そうして熱い口控内で吸い上げ、舌を絡め、時折先端を指で刺激し···を繰り返していく。
「ハッ···も、悠···!」
もう限界が近いことを伝えると絡まっていた熱が離れ両手で強く扱いてきた。
グチャグチャ···と粘着質な水音と俺の息遣いが混ざり、浴室内に響く。
「イけよ···蒼牙··」
「ッ···も、クッッ!」
悠さんの視線が俺の顔に注がれているのが分かる。
やがて、駆け抜ける快感に抗うことも出来ず···俺は悠さんの手の中に欲を放った。
「····蒼牙、」
ハァ、ハァ··と息を整えていると優しく名前を呼ばれる。
ソッと瞳を開けば、目前に悠さんの嬉しそうな顔があって···
「ん·····」
重なってきた唇は柔らかく、差し込まれた舌は甘い。
「···チュッ、お前、イキ顔も綺麗だな···」
キスの合間に囁かれた言葉に顔が赤くなるのを見られたくなくて、俺はそのまま悠さんの唇を奪い続けた。
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