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確めたい4(※流血表現有)

side 蒼牙 ギュッと愛しい人を抱き締める腕に力を込めた。 貪欲に悠さんを求め、声が掠れるほど啼かせた。 疲れはて眠ってしまってからも、こうして手放すことができずに抱き締め続けている。 スー··スー··と寝息をたてる悠さんの頭に軽く口付け、その甘い香りを胸一杯に吸い込んだ。 『その時は仕事を辞めて、俺も一緒に名古屋に行く。』 『愛してるから···絶対に離れないよ。』 悠さんの言葉が何度も甦る。 この人は、いつも俺が望んだ以上のものを与えてくれる。 『行くな』と言ってくれたらそれで満足だった。 芦屋さんとは違うのだと、悠さんの口から聞ければそれで良かったのに···。 「そんな風に俺を甘やかすから···図に乗っちゃうんだよ···」 囁きと共に身を起こし、愛しい人の身体の上に覆い被さった。 晒された無防備な白い首筋に吸い寄せられるように唇を寄せていく。 甘い血の香りが鼻を擽り、胸が締め付けられた。 眠っている悠さんの身体は普段より暖かく感じられ、心臓に添えた掌に規則正しい心音と熱が伝わってくる。 ···『愛してる』なんて言葉では足りないくらい、この人の全てに囚われている。 チュクッ··· 浮き出た筋に強く吸い付き紅い痕を残す。 『お前と出会って···俺は初めて『愛』を知ったんだ。』 そんなの、俺だって同じだ。 この人に出会わなかったら、俺は一生『愛』を知らなかっただろう。 「だから、もっと···もっと俺に溺れて···」 祈るような気持ちで本音を溢す。 そうしてゆっくりと付けたばかりのキスマークを舐めると···牙を立てた。 ガリッ···· 小さな音に続いて甘く芳醇な香りが強まる。 流れ出る赤い血の色と、目眩がするほどの魅惑的な香り··· 狂暴なまでの欲望と感情に突き動かされ、そこに強く吸い付いた。 「ん···そ、が···?」 眠りが浅かったのか掠れた声で名前を呼ばれ顔を上げれば、綺麗に微笑み俺を見つめる悠さんの瞳と視線が絡まった。 「ハッ····れ····だな····」 そう言って俺の首に手を掛け引き寄せると、悠さんは軽く口付けてくれた。 チュッ··· 「ッ、悠···」 離れた唇に悠さん自身の赤い血が付いていて。 それを舌で舐めとる。 「········」 意識を手放した悠さんは穏やかな表情で眠っていて。 『綺麗だな』 眠っている貴方にこんな浅ましい行為を強いているというのに···そう言って微笑んでくれるから。 「····ありがとう、悠···愛してるよ」 何度だって伝えたい···他の誰でもなく、俺を選んでくれてありがとうと。 眠った悠さんの頬を撫で、想いを込めてもう一度口付けると···俺はまた首筋に唇を寄せていったー。 週末 「それじゃあ、お世話になりました。」 深々と頭を下げる芦屋さんに、オーナーが笑顔で挨拶をする。 その横で同じように頭を下げる俺に視線を向けると、芦屋さんはフワリと微笑んだ。 「秋山くん、タクシーまで荷物をお願いできる?」 「はい、もちろんです。」 そう言って、彼女の脇に置かれていた大きな荷物を下げた。 そうして向かったホールで、芦屋さんは前を見据えたままゆっくりと口を開いた。 「私ね、あなたのことを少し見くびってたわ。」 「···え?」 思わぬ言葉に隣に立つ彼女に視線を向けた。 「見た目だけの上っ面な仕事をしている人なんて、いっぱいいるから。あなたもそうだろうと思ってた。だけど···違った。秋山くんはちゃんとプライドをもって仕事をしている。それが今回一緒に仕事をさせてもらってよく分かったわ。」 そこまで言うと芦屋さんは俺を見上げて微笑んだ。 「あなたのことはやっぱり憎たらしいけど···でも嫌いじゃないわ。」 「なんですか、それ···」 正直な彼女の言葉に俺も微笑んだ。 キラリと光るピアスを今は穏やかな気持ちで見ることができる。 それは本当に彼女によく似合っていた。 「あ、タクシー来たみたい。····それじゃあ、元気で。悠によろしくね。」 「はい。芦屋さんも、お元気で。···ありがとうございました。」 そう言って頭を下げる俺に「フフッ」と笑い掛けると、彼女はコツコツとヒールを鳴らして歩き始めた。 「芦屋さん!」 「···なに?」 タクシーに乗り込もうとしたところで声を掛け引き止めると、彼女はゆっくりと振り向いた。 「俺も貴女のことは苦手ですけど、嫌いではないですよ。」 「そっちこそなによ、それ····」 クスクス笑う芦屋さんは、少し幼くて···俺は初めて彼女のことを可愛いと思えたー。

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