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じじ様ばば様の家庭訪問おまけ 

side 悠 休日で人が多い駅の中、美味しいと評判のパン屋でコーヒーを飲みながら時間を潰す。 「もっとゆっくり過ごせば良かったのに。連れて行ってあげたい場所もあったんだよ。」 「そうじゃなぁ、でも畑も気になるしの。」 呟いた言葉に祖父がカラカラと笑った。 昼時、新幹線の予約をとっていた祖父母にせめて午前中に回れるところを案内しようと行きたいところを訊ねた。 『せっかくだからはるくんの会社も見てみたいのう。』 笑いながらそう言った二人。 その言葉に少し驚き···そして嬉しかった。 そうして俺の勤める会社を案内し、祖父母だけでなく蒼牙もニコニコと見ているのに笑いが溢れた。 「あ、そうくんが戻ってきたよ。」 祖母の声に視線を向ければ、人混みの中こちらに歩いてくる蒼牙の姿があって。 その手には祖父母に渡すつもりで準備した土産の紙袋が握られている。 それにしても···ほんとに、目立つヤツ。 高い身長にあの見た目。 周りからの視線をものともせず、真っ直ぐにこちらに歩いてくるその姿に思わず顔が綻んだ。 「ほんまに···ええ男を捕まえたなぁ、はるくん。」 「うん······ッ!」 祖母の惚れ惚れとした呟きに無意識に同意してから、ハッとして口を押さえた。 しまった···! 恐る恐る祖父母を見れば、それはそれはしてやったりな顔をしていて。 「や、今のは···その、」 「うんうん。ええんじゃよ、はるくん。儂らは分かっとるから、うん。」 「·····ッ、」 何を!? 「やっと素直に認めて、安心したわ。」 いや···認めてはいるんだよ、ばあちゃん! 「···くっそ、俺のバカ··」 赤らむ顔を隠すように下を向く。 やってしまった···くそ、恥ずかしい! どんな顔して祖父母を見れば良いのか分からない。 すると頭上から優しい声が降ってきた。 「悠さん··どうかしたんですか?具合悪いですか?」 「···何でもないよ。」 腰をかがめ蒼牙に顔を覗き込まれれば、さらに血が集まっていく。 「ほんとに?顔赤いですけど···」 「大丈夫じゃ、そうくん。ちょっと照れとるだけじゃから。」 「え?」 「はるくんは照れ屋さんで可愛いわねぇ。」 「でしょう。悠さんはいつも可愛いですよ。」 ケラケラと笑う二人の声が楽しそうで、それに応える蒼牙の言葉もまた、俺に追い打ちをかけていく。 「もう···三人とも勘弁してくれ···」 「ごめんなさい、悠さん。可愛くて、つい。」 机に突っ伏したまま呟く俺の頭を、蒼牙の大きな手が優しく撫でた。 髪を撫でられるその感触が気持ち良い···けど。 今、祖父母がどんな顔をしているのか想像できるだけに···俺はますます顔を上げられなくなったー。

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