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X'mas2(微※)

部屋の暖房を入れ、リビングで言われた通り待つ。 悠さんに触れたことで身体は熱を帯びており、それを逃すように大きく息を吐いた。 悠さんの仕事が忙しかったり、俺が熱を出したりしたから···約一週間か。 あの熱くて滑らかな肌に触れてない日数を数えて、欲深い自分に笑ってしまう。 『一週間も触れてない』と思っているなんて悠さんが知ったら呆れるだろう。 だいたい『クリスマスを一緒に過ごしたい』と思ったのも初めてだ。 そんなことを考えながら待っていると、やがて「待たせたな。」と優しい声が聞こえてきた。 目を開いて声の方に視線を向ければ、そこにはコーヒーとアップルパイをテーブルに並べる悠さんがいて。 甘酸っぱいリンゴの香りと香ばしく焼けたパイ生地の香りそして淹れたてのコーヒーの香りが鼻を擽った。 「···美味しそう。」 思わずボソッと呟いた言葉に、嬉しそうに「そうか。」と返事をしてくれる。 そうしてフォークを差し出しながら「焼き直したから熱いぞ。」とニッと笑うのに、また胸がドキドキしてしまう。 「いただきます。」 フォークを受け取り丁寧に挨拶をすませ、アップルパイにフォークを刺した。 「·····美味しい。」 一口食べて、その控えめな甘さとサクサク感に顔が綻ぶ。 本当にすごく美味しい。 大きく切り、それを一口で食べていく俺を悠さんが見守っている。 「ほんとに旨そうに食べるな。」 「はい。だってすごく美味しいです。あの、これって···」 嬉しそうな声に素直に答え、アップルパイをフォークに刺したまま悠さんを見た。 「ん、俺が作った。」 やっぱり。 いつの間にアップルパイなんて焼いたのだろう···とか、 どうしてクリスマスケーキではなくパイにしたのだろう···なんて疑問の答えは、自分でも分かりやすすぎるくらい簡単で。 そんなことよりも、ただ単純に、俺のためにアップルパイを焼いてくれたことが嬉しい。 「初めて焼いたからな。パイは市販のだけど。」 そう言って自分も一口食べると、悠さんは「うん、上出来だろ。」と照れたように笑った。 その笑顔がすごく可愛くて、愛しくて。 今すぐにでも押し倒したい欲求にかられながらも、無理矢理それを押し込む。 「ありがとう、悠さん。すごく···すごく嬉しいです。」 「っ、ん。」 悠さんの顔を見つめながらお礼を言うと、ますます照れたように顔を染めるのがたまらない。 ···ああ、やっぱりキスだけ。 我慢が効かない自分に呆れながらも、俺は悠さんに手を伸ばした。 「なに···んっ!」 身体を傾け悠さんの顎を上向かせる。 そうして薄く開かれた唇に最初から深い口付けを施す。 チュク···チュッ、チュル···· 甘い舌を吸い上げ、柔らかく噛むと「ンッ···」と悠さんの喉が鳴る。 顎に掛けていた手を頬に滑らせ、優しく添えながらも指先で柔らかい耳朶を揉む。 そうすれば擽ったそうに首を竦めるから···離れそうになった唇を追いかけ、さらに深く重ねていった。 上顎を舐め、舌先を擽り、根元から絡める。 何度も角度を変えて、息継ぎをするタイミングを作ってはまた奪う。 「っ、ん···はぁ、そ···が、んん···」 クチュ··チュル、チュッ··· 執拗に責め立てた後、ゆっくりと唇を解放した。 互いの唇が唾液で濡れ糸を引くほどに濃厚なキス。 「···悠さんの口の中も、すごく甘いです。」 そう言って悠さんの濡れた唇を舌先で舐めた。 すると「お前もだよ···」と悠さんは自分の舌を伸ばし、俺のそれに絡めてくれた。 チロ···チュルッ、チュク··· キスとは違う、ヌルつき擽ったいような···けどエロすぎる舌の戯れに、いつの間にか両腕で悠さんを抱き寄せていた。 「ん、悠さん···」 「はっ···蒼牙···」 お互いの身体を抱き締め合い名前を呼ぶ。 このまま押し倒したい··· 柔らかな髪が濡れた額に張り付き、悠さんの身体が俺を求めて震えるほどに愛したい··· 「早く···アップルパイ食べろ。」 己の欲求と戦いながら深いため息を吐くと、耳元で悠さんが呟いた。 「え···?」 「早く食べて···玄関での続き、したい···」 悠さんの顔を覗き込めば、色っぽい眼差しでそんなことを言うから。 「おかわりは、明日食べます。」 俺は悠さんを抱き締めたまま、皿に残ったアップルパイを一口で食べた。 「ちゃんと味わえよ?」 クスクスと笑う悠さんに「当たり前です。」と意思を込めて見つめ返す。 「···ハムスターみたいだ。」 モグモグと咀嚼する俺に笑いながらそう言うと、悠さんはチュッ、チュッ···と顔中にキスをしてくれた。 「···ん、食べました。すごく美味しかったです、ごちそうさまでした。」 飲み込んだアップルパイ以上に甘い悠さんからのキスに残りの理性が切れそうだ。 「ん、お粗末様でした。」 綺麗に微笑むのが愛しくて。 抱き締めていた腕に力を込めると、一気に立ち上がった。 そのまま悠さんを抱き上げ寝室へと歩く。 扉を開く音がやけに大きく聞こえる中、 「メリークリスマス、蒼牙。」 俺の首に両手を回し悠さんが耳元で囁く。 そのままチュッ···とキスを落とすのが可愛すぎて。 「メリークリスマス、悠さん」 柔らかい唇に口付けながら囁き、愛しい身体をベッドに深く沈めていったー。

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