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アニマルパニック3
side 悠
カチャ..カチャン
キッチンから食器を洗う音が響く。
いつもと変わらない音なのに、そこに立っているのはギャルソン姿のウサギ蒼牙で。
ついつい視線を向けてしまうのは仕方ないと思う。
くそ...格好いいし、可愛いじゃないか...!
昨日も見たはずのウサギ耳に、なぜか今日はドキドキしてしまう。
それもそのはずで蒼牙の好きなところの一つがこのギャルソン姿だ。
『これならどうですか?』
と得意気に笑いやがったところを見ると、それを分かっててやってるに違いない。
そう理解しているのにやっぱりドキドキしてしまうのも事実で。
「くそ、完全にやられた....!」
「何がですか?」
項垂れタメ息混じりに呟いた言葉を柔らかい声が聞き返してくる。
「っ、何でもないよ。」
「そうですか?」
項垂れたまま答えればクスッと笑う声が聞こえてくる。
そうして背後から伸びてきた暖かい腕が身体を包み込み、驚く間もなくグイッと持ち上げられた。
「な、蒼牙!?」
荷物を運ぶように持ち上げられたまますたすたと歩かれ「...しょっと」と呟きながら蒼牙はソファに座る。
必然的に足の上に座る形になってしまい、落ち着かない体勢に背後にいる蒼牙を振り向いた。
「なんだよ、急に...んっ、」
チュッ....
文句を言おうと開いた唇に蒼牙のそれが重なる。
振り向いたままでされるキスに驚き身体を離そうとすれば、グッと腰と胸を抱き寄せられた。
チュクッ...チュッ..
「ふっ、ん....」
戯れるようなキスを何度も落とされ、柔らかいその唇に唇を挟まれれば...もっと深いキスをしたくなってくる。
なのに蒼牙はそれ以上は深くしようとはせず、何度も何度も...啄むだけのキスを繰り返す。
「蒼牙...」
結局触れるだけのキスに焦れたのは俺の方で。
いつのまにか向き合う形で膝を跨ぎ、ねだるように首に腕を回して瞳を見つめた。
「...もっと、キスしたいですか?」
楽しそうな表情で見つめ返してくる蒼牙に悔しさを感じるも、素直に頷いて見せる。
すると蒼牙は笑顔を崩さすに口を開いた。
「じゃあ、何が『やられた』なのか教えて下さい。
「っ!!それは...」
相変わらず視界に入ってくるのはギャルソン姿のウサギ蒼牙で、笑えるどころか逆にドキドキが強まる。
「...なら、言葉にしなくて良いですから。さっきみたいに頷いて教えて?」
「..........」
優しく微笑みながら蒼牙がソッと頬に触れてくる。
「なんちゃってレストランでしたけど、嬉しかったですか?」
「........」
思ってもみない質問に戸惑いながらも小さく頷く。
そうすればますます嬉しそうに瞳を細め蒼牙が言葉を続ける。
「さっきのキス...気持ちよかったですか?」
「...........」
その質問には答えただろ...そう思いつつ首を縦に振った。
くそ...恥ずかしい!
赤らむ顔を隠そうとするが、顎を固定されてしまい反らすことができなくなってしまう。
そうして蒼牙は俺の瞳を覗き込むと、ゆっくりと言葉を紡いだ。
「俺のこの格好...気に入った?」
「........................」
顔に熱が集中する。
なんだ、この羞恥プレイは...!
そう思うのに、嬉しそうに微笑む蒼牙を見つめているとそんなことも言えなくて。
小さく...本当に小さく頷けば、途端にギュッと強く抱き締められた。
「ふふっ、嬉しいです。」
耳元を掠める蒼牙の吐息と声が擽ったくて...そして、もっと感じたくて。
「ちゃんと答えたんだから....こっち向け。」
僅かに身体を引き、蒼牙の頬を両手で挟み自分に向ける。
「悠さ....ンッ」
そうして名前を呼ぶその形のよい唇に、今度は俺から深く口づけたー。
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